takumi@ さんの感想・評価
3.5
物語 : 4.0
作画 : 3.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
恋する乙女はみんな女優かもしれない
冒頭、一瞬中身を間違ったかと思ったほど
観始める前の想像と違うシーンから始まった。
ある女優が芸能界を引退して30年。
自分の所属していた映画会社が老朽化によって取り壊されることになり、
30年ぶりのインタビューを受け、現役だった過去を回想していく形で展開していく物語。
主人公である女優さん、とにかく追い続ける。
果たされない約束を叶えるために、恋した相手ともう一度逢って、
あるものを渡すために・・・
平安時代から室町、江戸、明治、大正、昭和へと、
それぞれの時代を舞台にした数々の映画の中で生きる彼女は、
ただひたすら初恋の人を追いかける。
映画の中の話と現実の話、撮影中の映画で設定された時代と現代が
交錯しながら展開されていくので、
最初は戸惑う方もいらっしゃるかもしれない。
でも、昭和を代表する往年の映画女優を主人公にしており、
見覚えのあるカットやシーンが、
思わずメモに書き出したくなるほどたくさん登場し、
実在する大女優数人をモデルにしていることがわかるので、
そこはちょっと嬉しくなってしまった。
映画好き、特に古い日本映画に詳しい人にはたまらない、
そんな部分でも楽しめる作品。
そして彼女が恋した彼の言葉、短いシーンながら魅力的なセリフが印象的。
がしかし、主人公の恋を観ているこちらも一緒に追いかけていくうちに、
いや・・これは待てよ?と。
ロマンティックな恋心を描いているようでいて、
これは違うぞ・・・と、途中で先が読めてしまったのがちと残念。
とにかく、この映画を観ながら恋とはなんぞや?と考えみると、
「好き」という気持ちはある意味「執着」であり、
好きになった本当の相手は恋した彼なのか否か。
何を追いかけ、何から逃げているか?
一番大切なものとは何だったのか?
なぜラスト、あの場所に行ったのか?
それが分かればこの作品は成功していると言えるのかも。
賛否が分かれやすいかと思いますが、そのあたりが見所と思う。
いやはや、乙女の恋心って(汗)
彼女に共感できた方は、おそらく女優、俳優の素質を持った方かもしれない。
監督は故・今敏氏、声優は山寺宏一さん、津嘉山正種さん、
小山茉美さん、荘司美代子さんなどベテラン揃い。