sekimayori さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
しまりんに憧れて装備不足でぼっち冬キャンに出かけた37歳工作機械会社総務課課長補佐(独身)、彷徨う意識の中、震える手で記す。
ゆるキャン△には安寧がある。
現実の煩わしさを超えてゆく、「ちょっとぼっち」の安寧が。
まず、キャンプと言う題材。
自然の中でなら、僕らは人間社会から、ちょっとぼっちになれる。
キャンプサイトには、出世競争も、年々小さくなってゆく両親も、独身なのに買っちまったマンションのローンも存在しない。
しかも、高校生ができる範囲のキャンプだ。
おこづかいで賄える程度の装備に、独身男でも簡単なキャンプ飯。
人の少ない冬なら、他のキャンパーに見栄を張る必要もない。
ただ、休日のひと時だけ日常から離れる。
心を丸裸にして、自然に触れさせる。
それだけのことがとても気持ちいいんだ。
キャラ同士の距離感もいい。
キャッチコピーは、「きっと、そらでつながっている」。
「こいつ苦手なんだよな」と独白される(日常系じゃ地味に革命的じゃないか?)千明としまりんの間でも、「キャンプの楽しみは人それぞれ」という意識が共有されてる。
だからグルキャンの誘いを断っても険悪にならない。
その根っこにあるのはきっと、キャンプして見た空の美しさ。
キャラもみんな大人だな。
年上の部下である俺を煙たがる課長。
「えー、その歳で彼女もいなんですかぁ?」なんて聞いてくる24歳派遣女子。
そんな不躾な輩は存在しない。
互いに何も押し付けない、でも一緒にいたければ寄り添い合う。
なでしこは、そんな緩い連帯のキーマン、緩衝材だった。
かわいいなあ。
SNSの使い方も見事。
SNS疲れなんて言葉があるけれど、ゆるキャン△でのSNSは、むしろ人疲れしないためのツールとして描かれていた。
離れていても通じ合える、あくまでもそのための便利な手段。
さしずめ、「きっと、人工衛星でつながっている」だな。
なんだ、イケてるギャグまで思いついちゃったじゃないか。
寒いと頭スッキリするのな。
もう一度言う。
ゆるキャン△には安寧がある。
生まれ変わったら、私はしまりんになりたい。
そして、なでしこと友達になるんだ。
ああ、なんだか、とても眠い。
ひと眠りしよう。
起きたら、もう月曜は会社か。
大丈夫、きっと頑張れるさ。
それにしても、段ボールとプチプチは流石にダメだったな。
でも、いつもは苦痛な飲み会で、ついに話すネタができた。
課長も派遣のあの子も、みんな笑ってくれたらいいな。
じゃあ、おやすみなさい。
※このレビューはフィクションです。
実在の人物・団体・法律・事件とは関係がありません。
キャンプ時の装備は万全に。
慢心ダメ、ゼッタイ。
私信:原作薦めてくれたdisaさんに感謝。
原作通りだけどフルカラー映像の強みに圧倒された5話。
原作を隅々までかみ砕いた上でオリジナリティを加え、魅力を最高に高めた3話や最終話。
原作を読んだからこそ味わえる楽しみに満ちたアニメ化でした。
制作陣に心からの拍手を。
82点