「宇宙よりも遠い場所(TVアニメ動画)」

総合得点
93.8
感想・評価
2803
棚に入れた
9760
ランキング
12
★★★★★ 4.2 (2803)
物語
4.3
作画
4.1
声優
4.2
音楽
4.1
キャラ
4.2

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ネタバレ

毒舌Z さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

頭の悪い方は

2回以上見ることをお勧めしたい作品です。
批判ではありません。私自身が放映時は気づかず、某掲示板で他の方の意見を見たり、観直して気づいた事がいくつかありますから。
おかしいと思ったシーンでも、観直してみると示唆するシーンが有ったり、前の話から通してみると理由が出ていることがあります。(勿論全てわかった上で低評価の方もいるとは思っています。)

※放映開始一周年を記念して!
ちゃっかりと、入力ミスやらを治させてください。ついでにちょっと修正追記も。
最初の投稿はこれよりさらに長い文をコピペ繰り返しで短くしようとし、グダグダになり過ぎたのが気になっていまして。
自戒の意味でパッと見少しの修正にしますが。

まず、これから観る方へ。
1話を見終わった後に「南極はツアー旅行で簡単に行けるのに」と思った方は、何回観ても無駄かもしれません。批判ではありません。時間の無駄になるのでは、と忠告です。
危険を乗り越えるとか、遭難するとかでなければ納得できない方も観ないほうが良いと思います。主人公たちが同行するのは「探検隊」ではなく「観測隊」ですし、最初から一貫してweb予告編でも「旅」と言っており、「冒険」とは言ってなかったはずです。
それでわざわざ観て“そこを”批判するのは、旅番組を観て「なんで山に分け入らないんだ! 湖に潜らないんだ!」というようなものです。
そして「南極は宇宙よりも近い」と仰る方は、毛利衛さんに宇宙と南極のことを教えて差し上げてください。

まず、キャラ設定からして、いいですね。
{netabare}高校1,2年生という、縛りがある義務教育も終わり、でも受験や大人として働く準備をしなければならない時期までもう少し猶予がある。逆にその事が将来に漠然とした期待と不安になる年齢を選んだことにより、私は高校生当時を思い出し共感できました。私もあの頃なら行ったでしょうね。
それに大人の目線ではあり得ない大きな事でも若い頃って手が届くような気がしたり、それがどれほど大きな事か分からないまま挑戦してしまうってあるでしょう。(私も高校生当時は「いつか世界を制せる」と結構本気で思っていました…)
「自分はそんな事を思わない」というので否定するのは勿体無いです。
自分語りになりますが、私も今のビジネスモデルを確立するまで、周囲から「そんなの無理だ」「前例がない」と言われました。でも現状を打破するのは自分を信じて突き進んだ者だけだというのが思い起こされました。
(私の場合は、周囲は私の事を思っていってくださっているのは分かっているので、「ざまあみろ」とは思いませんでしたが。)

ちなみに他所で現役高校教師の方の考察が話題になりましたが、単位所得出来る可能性は高いそうです。
それに1話の「ズル休みもしたことが無い」というのも、キマリの性格を表しているだけでなく、その時点まで欠席日数は少ないという二重の意味になっているのも、考えられていますね。

同性4人にしたのも、テーマを青春の中の友情に特化して、13話で濃密に描かれていた作品だと思います。差別ではありませんが、男子高生でうじうじするのを見せられても、つまらないでしょう。{/netabare}

主人公が報瀬でなくキマリなのがいいですね。
{netabare}当初報瀬以外の南極意識が低いのがいいです。
出会いを経て、曖昧なまま走り出した目標が明確になっていく。仲間出会い想いを聞いて、共に向かいたい場所は「どこか」ではなく「南極」と、同じ景色を見たいと思う。そして様々な経験を経て意味を見つけ、最終話でまた戻ることを誓う。王道じゃないですか。
もしも報瀬を主人公にしていたら、母親の件に重点が置かれ過ぎて、それは凡百の物語が待っていたのではないかと思います。
それに主人公はレッドで全ての問題を解決しなければならないわけではないでしょうし、報瀬の心を救うきっかけの正解を出したのが、頭のいい日向でなくキマリだったのが、理屈でなく主人公だなと私は感じました。
ただ、最終話の「また来る」という場面、グッときました!が…次は高校卒業後でしょうから、さすがにその時は大人としての戦力で行かないと…大丈夫ですかねと、少し心配になりました。特にキマリ、君だ。{/netabare}

萌えキャラ{netabare}ならファンになる方も多い昨今、キャラデザインもあえて古い感じにしたそうです。ここは制作者さん、旅でなく冒険していて、いいですね。
「そんなキャラデザで大丈夫か?」って心配したら、問題ないどころか一気にクリアされたような気分です。制作スタッフもそうですがGOサインを出した経営陣が素晴らしいです。
そういった点からも、作画は高評価です。
でも萌えキャラだったら、低評価だったのが高評価に変わった人もいたかも…

あ、キャラ、けいおんと似てますかね? 
う~ん… 女の子4人ならけいおんのパクり、5人ならセーラームーン、3人ならスケバン刑事、大勢ならあずまんがかラブライブか…{/netabare}

13話で綺麗にまとっていて、テンポがいいです。
ストーリーもブレずに青春に特化して、描き切った感じがします。
{netabare}彼女達がバリバリ観測活動をしても、3か月の活動でプロになっても嘘くさいだけで、それこそ「科学をナメるな」とか「ありえない」と騒がれるのがオチだったでしょう。
そういった意味でも観測実務はしっかり手伝っていましたし、あのくらいの関わりにしていたのは大正解だったと思います。私は十分描かれていたと思いましたし。
そういう点でも、女子高生達の仕事を広報にしたのも上手いですね。リポートの時以外は、まだ高校生が旅行気分ではしゃいでいても、何の問題も無いですし。{/netabare}

見聞きする限りでは大分観測隊員の方に取材なさっているようで、いいですね。
監督のインタビューによると、観測隊員の方々に取材してみて、南極での生活は「普通」だそうです。
{netabare}観測の仕事の描写もそれなりに有ったと私は思いますし、夏隊とはいえ環境は楽ではない描写もありました。ですから観測隊員が遊んでいる描写も多々ありましたが、厳しい環境での労働はやはり休憩が多くなるのは、大人なら「南極も同じなんだ。」と納得する描写だと思います。
ただ、南極の場面や高校生がリポートすることに「南極をなめている」「リアリティがない」というご意見もあるようです。こんな世間一般に馴染みのない場所や仕事なのですから、間違いなく南極観測隊やメディア勤務を経験された方のご感想でしょうから、リアリティはないようです。
特に南極の方は、仕事も遊びの描写も極地研究所や観測隊の隊長隊員の方への取材に基づいているようですから、批判されている方は確実にそれらよりお詳しい方のご指摘です。世の中に南極に行かれた方、多いみたいですよ。
リポートの方は、高校生だけでリポートしたほうがインパクトがありおもしろいと思いますし、局も社員を派遣しない分安く上がって一石二鳥と思ってしまいそうですが、それは素人考えのようです。{/netabare}

実写映画の南極料理人という作品がありますが、安易に真似していないのがいいですね。
その方向性にして越冬の基地をリアルでいくなら、シモの話やガツガツ飯を食うのを繰り返す「汚らしいアニメ」という評価になったでしょう。さらに盗み食いやらで、ここや某掲示板で「窃盗だ」なんだと騒ぎ立てられて面倒になったでしょうね。そもそも南極料理人自体、そこまで大した作品でないですし。
また、専門知識をこれでもかと入れて南極観測をリアルにふんだんに入れれば「骨太」だなんだと、だからといって金を出すわけでない一部から称賛されるでしょう。
ですが盛り上がりに欠ける作品になり、そんなに南極が気になるなら深夜アニメ見てる間に専門書を読めよ、って話です。

高校生達が元気なのも、見ていていいですね。微笑ましいです。
{netabare}ただ、ひょっとしたら大人目線と若い方の目線でも評価は分かれるのかもしれません。以下お子様のために。
大人だって24時間365日スーツを着ているわけではなく、大して追われていない時は余裕をもって冗談を言ったり笑顔で仕事をしています。笑顔のないような職場はブラックだと思ってください。そういう職場で働かれている方は、仕事中笑顔があるとムカつくのかもしれませんが。
私も体験学習を受け入れますが、この業界に興味を持って欲しいとは思いますけれど、そうでなくても今後の人生のために何某かでも得てもらえればと思って受け入れています。制作者さんもそういったイメージだったのでは。
ちなみに大人と同等の責任の話はしますが、実際に高校生に求めるわけがありません。高校生なんですから。当たり前の話です。{/netabare}

この作品は、過程や結末を想像する余地を残しているのがいいですね。
そういった心理描写も、丁度良く提示されていたと思います。
しかし、他所でも感想を見ていると、ちょっと難しかったところもあるのかもしれません。
例えば11話。他所だと明らかに誤認されている方がいるので、わかっている方がほとんどでしょうが一応書かせてください。
{netabare}陸上部員の言い分も11話中盤に出てくる陸上部から日向へのメールで出ていて、報瀬達は認識しています。
陸上部員から基地へのメールで「あの時先輩達に一言、私達が言ってあ」という文言が映されたことから、続く文は「先輩達に一言、言ってあげられていれば」か、「一言、言ってあげられなくて」くらいではないですかね。
結果窮地に追いやるような焚き付けになったのは仕方ないとして、一言言わないどころか嘘をついて保身に走り、相手は高校まで辞めて人生狂ったのに正直に謝る気はないわけで、そもそも「友人が南極に行ったと自慢するために接触だって」とメールを見た後に日向が言っていますし、その他にも本気で謝罪に来たのではない描写もあり、創作物としてどちらに非があるかをハッキリさせているのも、わかりやすいです。
あれで許すというのは、“成長”といわず“悟り”で、日向は乙女座の黄金の人になれます。
加害者の言い分も聞いて、陸上部員を友達と思っていない日向の意思も確認した上での報瀬の啖呵。流れが見事です。
これらを見逃すと、「陸上部員は謝りたかったかも」とか「日向の許しの邪魔をした」等、頓珍漢な批判をする羽目になるかもしれません。{/netabare}

そういう点で、めぐっちゃんと陸上部員と対比もいいですよね。
{netabare}キマリは大切な親友で、号泣しながら自身のしてきたことを正直に話してケジメを付けるようとするめぐっちゃんと、自分がかわいくて常に保身だった、ヘラヘラしながら断り辛い公開の場で許されようとする陸上部員。
それで酌量しない人は少ないから、この作品の評価に繋がっているのでしょう。
キマリを単純な子にしたのも、最初からうまく考えていますね。少なくともあの場で、報瀬にも被害があったことを思い出せる子でないでしょうから。
その後キマリは気づいても、友達のAさんとBさんが一方の原因で仲が悪くて、謝って欲しいと思っていても無下にしないってことは、世の中いくらでもあるでしょう。{/netabare}

ただ、12話の報瀬{netabare}が泣いた理由、話の流れやセリフ、表情に大体の答えが出されていて、いい演出だと思ったんですが… 他所で「だから花田の脚本はダメだ。」と仰っている方の解釈を見ると、分かりづらい脚本だったようです。
全体的に、もう少し、アンパンマンやドラえもんのような作品にした方が、作品の評価は上がっていたのかもしれません。{/netabare}

そう思うとこの作品は良くないのかもしれません。
{netabare}南極に着いた報瀬の第一声が「ざまあみろ」も誤解を与えるかもしれませんね。
後に明確にですが、報瀬の目的地はここでない、「南極=宇宙よりも遠い場所」でないことを思い起こされ、私はやられましたが、制作者の説明不足なんでしょう。
個人的にはそういう理由が無くても、第一声が「ざまあみろ」でもいいと思いますが。
すれ違うだけで嘲笑されたり、カツアゲまでされそうになっていたんですから、「ざまあみろ」くらい言わせてあげてもいいんじゃないですかね。人を嘲笑したことのある方は、自身が言われた時を想像して、拒絶反応を起こしてしまうかもしれませんが。
高校辞めるって重大ですよねっていう日向の件も。私でも履歴書に「高校中退」って子が就活できたら、どんなに面接が好印象でも、かなり悩みますもの。大卒でも。
現実で、南極に着いて雄大な景色を見ただけで「カツアゲや嘲笑、高校辞めるまで追い込まれたことを許せる。」って聖人は、普段からアニメも見ずにボランティアに勤しんでいるので、そんなアニメ作っても視聴者の共感は得られません。
ただ、「ざまあみろ」の後のセリフは、もうほんの少し丁寧にしてもよかったのでは。
1話で、途中で同行を断念した人には「それが普通だと思う」と理解していることから、「ざまぁみろ」の対象外でしょう。
一括で「ざまあみろ」であって、対象其々に強さニュアンスが違うかもしれませんが、ばあちゃんも含め心配して言ってくれた人に対しても悪意の強い「ざまぁみろ」なら、私も若干マイナスです。高校生くらいはそんなものでしょうから、若干程度ですが。{/netabare}

でもやはり、この作品はいいですわ。
前の話で出てきたセリフや行動、ちょっとしたシーンや物がその人物の性格やその時の心情を表していたり、また後に繫がっている物も多く、話が1話から13話まで筋道立っています。
ここは語り始めたら終わらないので、止めておきます。
しかし一つだけ、{netabare}批判の多い観測隊の大人たちの「ざまあみろ」の対象も、4話に答えがあるのではないかと思います。
4話の山に向かう車中で、かなえさんは批判的な報道があるたびに「うるせえバーカ」と言っているとの場面があり、そこから推察すると「ざまあみろ」の対象は、現実社会でも正義面で無責任に、批判前提であることないこと垂れ流すメディアに対して、ではないでしょうか。私もスポンサー等に言っていたなら不満点になったでしょうが、マスコミ相手なら私は納得です。{/netabare}

そういった観測隊の大人たちの事も、よく見るとちゃんと描かれているのがいいですね。
{netabare}観測隊の大人目線で見れば、報瀬の事を本当は母親の行ったところに連れて行ってあげたい。そう思っているから成長を見て大人達も決心する。隊長達の描写もしっかりできていたと思います。
ですから3話南極に行けることになる過程は、何にしろ権利を得るという、あれでもいいと思いました。彼女達は引き籠っていた訳でなく動いた結果ですし。動いた最初のアクションで物事がうまくいくことなんて多々ありますし、努力の面では報瀬がずっと努力してきた描写もあるんですから、そこもしっかりしていると思いましたけどね。
親の目線も、結月の母親もですがキマリの両親が担っている点も良くできているなと思います。最初から「臆病で一歩踏み出せない子」としていることにより、親なら“そんな子が自分から強い意志を持って「やりたい」と言い出したことは応援したくなる”というところも上手く考えていますよね。出発の日に泣いた親父さんが、それでもやはり心配なのもはっきり表していましたし、妹も。

それと観測隊を民間にしたのも、考えていていいですね。他国では民間基地が既にあるようですし。
国の事業だったら隊の判断で連れてはいけず、公募して審査が無ければおかしくなりますから、偶々行くことが決まった後集まった若者達が「私達はもう私達」なんて仲になる確率は低いでしょうし。
{/netabare}

それに、キマリ達もですが報瀬の成長が泣けてきますね。{netabare}「私は行く」「私も同行できないか掛け合って」が「この4人で(行くの)!それが最優先だから!」に。そして「みんなが一緒だったからここまで来れました」。
12話の「友達ができました」のところなど、自分の娘の事の様に泣きそうになりました。というか、泣きました。

その12話から13話に続き場面が素晴らしい。
12話最後で母の死を実感して涙する報瀬と、報瀬を想いドアを隔てた外で泣く三人。その場面で報瀬はきっと大丈夫だと視聴者に確信させる演出。
そして最終話の13話はそのことは殆ど引きずらず帰還の物語。並の作品なら13話は報瀬の立ち直りの演出を入れ、陳腐な演出や蛇足のセリフ回しに時間を取られて帰還の場面が駆け足になって、感慨も爽快感もないラストだったでしょう。
{/netabare}

最終回、いいですね。
{netabare}ちょっぴり強くなった。雄大な景色を見たからといって覚醒するわけないですからね。
最後のそれぞれ4人のセリフで、大人から見ればちょっとの成長のような気がしますが、実は大人でも気づいてなかったり忘れがちなことに気づく、大きな成長ですよね。
しかも、もともと内向きだった4人がですから、尚更です。
12話のキマリと報瀬の会話、そして13話の報瀬の挨拶から、舞台が最果ての地南極であった意味が集約されている、上手くまとまった作品です。{/netabare}

そしてめぐっちゃんの成長{netabare}も、北極に行ったことに関して「そんな簡単に行けるなら、あの4人も大した事なくブチ壊し」という方も某掲示板にいましたが、めぐっちゃんからの写真の背後に木が見えることなどから別に北極点まで行ったとかではなく、30万円からのツアー旅行でも行けるオーロラが見える北極圏くらいでしょう。
なんかこの作品の制作者さん、批判を予想して煽ってるのではという気さえします。
でも兎に角、彼女も小さな一歩を踏み出したのが爽やかですね。
{/netabare}

声優さん、ごめんなさい。特に主役の方が出演するアニメはほとんど見たことがなかったので、「アイドル声優」さんだと思ってました。

音楽は、多分別の作品で同じ曲を聞いたら評価が違っていたかもしれませんが、挿入歌のタイミングが絶妙でした。騙されているような気もしますが。
歌われている方も最初はどうかと思いましたが、まだ未熟っぽさが作品に合っていたと終わるころには感じていました。

色々書きましたが、私はこのアニメが完璧だとは思いません。
{netabare}結月が加わる過程はいいとして、日向の加入の部分は、アニメとはいえもう少し偶然の要素を排してもよかったような気がします。
それと南極への航路で、海が荒れる中で甲板に出るシーンは、別の表現の方が良かったと思いました。
ただ、それ程マイナスではありません。もし現実でああいう事があったら、悪いのは大人なんですよね。経験ない子って、分からないんですよ。危険なことが。キマリが船の大きさに感嘆している場面が何度もあったのは、伏線なのかもしれませんね。ですが教えるのは大人の仕事です。
ただ、大人も当たり前のことはつい言い忘れるのも分かります。自分はまさか絶対にそんなことはしないですから。私も「嘘でしょ?!」とヒヤリとさせられた経験がありますし、その時は自分を責めました。
その時って当然相手を怒ります。ですがどこまで怒るかは相手によりますよね。ふざけて「迷惑? 関係ねぇ」というタイプなら厳しいですが、悪気が無い子にはそこまで怒れません。あの4人は後者でしょう。
{/netabare}
話は逸れましたが、マイナスの面を引いても5点満点くらいなら5点ですし、ここで満点付けておかないと、今後満点のアニメはないかもしれませんので。

あ、他所でテンプレ通りだとか同じような作品は沢山あるというレビューを見かけましたので、「私はこういう作品を面白いと思いましたので、是非とも作品名を教えて欲しい」とお願いしたら、その方は何かあったのか残念ながらレビューを消してしまいました。
ここの方の方がお詳しいでしょうし、同じようにこういう作品は山ほどあると思われる方が居られましたら、ご教授頂きたいものです。
あにこれの“類似作品”もいくつか観ましたが、青春がテーマでも、似てるなって思えるものが見当たらないです。イヌとキツネくらいの差で、共通点は青春(イヌ科)ってだけくらいに感じました。

2018.9.12追記 それとさっと見直して変換間違え等もちょっと直しました。

※以下はいづれ消すつもりだったんですが、ご好評頂いた方もいましたので、残しておきます。
 更新で以前とレビューの並びも変わりますので、何故こんな追記をしたか意味不明になるでしょうから私が変人と思われるくらいなんで、まぁいいかなと。


私も他の方の書き込みを見て、思い直しました。本当に分かり辛い作品です。制作者さん、猛省してください。
{netabare}9話の報瀬の第一声が、意図的な「ざまあみろ」だったのが分かり辛いようです。全話見ておきながら、それでも気づかない方もいるようです。制作者の責任ですよ。

報瀬の目的地は、行きたい理由の台詞から1話の時点から明確と思ったんでしょうが、ダメです。
「ざまあみろ」の前から、報瀬の「どう思ってるかなんて全然分からない。(帰りを)待っている毎日と変わらない。変えるには行くしかない。お母さんがいる、宇宙よりも遠い場所に。」という台詞がありますが、これでもかなり中略ですが、長くて理解が追い付かない方もいたんでしょう、制作者さん。

一人でぼーっと母親が天板に描いた星空を見上げるシーンがあったり、結月が「お母さんが来たところですよ。」と“わざわざ”言ったのに「ざまあみろ」で、キマリ達が驚き「そっちかよ!」と日向がしっかりツッコミを入れるという流れで、これで報瀬が母親の事を言わなかった意図が制作者にあるのでは? と思わない方もいるんですから。
南極の景色を見ても虚ろな表情なだけでは、何も分かるわけないです。
12話で「ざまあみろ」だった理由がキマリ達との会話で語られ、出発時「最後の旅が始った。(中略)宇宙よりも遠い、彼方に思えたその場所に」、終盤に「もうすぐ着きます。お母さんがいる、その場所に。」と、通してみれば「ざまあみろ」の時点で母親のいる目的地に辿り着いていないことを物凄く明確にしてはいますが、それでもダメです。

12話最後のメールでようやく母の死を実感したという演出で、逆に言えば「ざまあみろ」の時点で母の死は「まるで夢のようで、未だ覚めないでいる。」と、実感できないでいるといったところで分からない人もいるので、制作者さん、論外です。

上記のそれらが母親への並々ならぬ強い想いを表していますが、認められません。報瀬は南極に行くだけなら100万円で格安ツアー旅行に行って南極圏で「お母さん」と叫べば達成なのに、観測隊と目指す事に固執した理由を考えることができない方もいるかもしれないことを、制作者は考え無かったんですかね。許せませんよね。

最初から脚本でしっかり練られていると思っているのは、制作者と、理解している高評価な多くの人だけです。これだけ沢山描写しようが、「ざまあみろ」の時点では報瀬にとって未だ「無理だ行けないと馬鹿にされてきた、南極圏に着いただけ」という事が理解できない方もいるかもしれないことを、制作者は考慮すべきです。

ちなみに某所でも、9話の直後は「母親への想いが〜」という批判が少なからず有りましたが、全話通して振り返っての議論ではほぼ無くなり、「ざまあみろは汚い言葉だ」という“おとぎの国の住人の方ですか?”という批判になっていたのを覚えています。{/netabare}

それに配慮不足です。
{netabare}偉業を成し遂げた人の自分に向けたわけでもない発言にも、自分が可とすることを言わなければ不満を持つ人だって世の中いるかもしれません。何を言おうが当人の歴史があってその人の人生なんですから、勝手でしょうけれど、気を付けるべきでした。
ちなみに偉業を成し遂げた人と言えば、宇宙飛行士でしょう。アームストロング氏は伝わっている言葉は言ったようですが、ガガーリン氏は「地球は青かった。」とか「神はいなかった。」とは言っておらず、見たままの状況をレポートしただけな様です。何だったらガッカリしなくて何だったらガッカリか、基準が欲しいですね。
第一声ではないですが、近年W杯の優勝セレモニーで敗者を揶揄するダンスを踊った世界一流選手達もいますし、現実で成し遂げた方もそういう行為に及ぶんですから、是非とも基準を。

奥さんを亡くした役者が子どもを元気づける為に娯楽施設に行ったり、事故で母親を亡くしたお嬢さんがランチを食べに行ってSNSに上げただけで、関係ない第三者が「愛情が無い」と攻撃する時代です。
そういう方にも配慮したセリフ回しにするべきで、これからまだ遠い母親のいる場所に行きたいので今現在実感は無いけれど取り敢えず「お母さーん!」と叫ばせるべきです。そしていよいよ宇宙よりも遠い場所に着いたら再度「お母さーん!」、南極星見つけてオーロラ見てかき氷食べてペンギンと写真撮っても、メール見ても「お母さーん!」。

そして母親のために必死に貯めた金を盗られそうになって。辛いから、自分の過去を知っている人のいない、しがらみも何もない南極に逃げて来たのに。そこまでズカズカ踏み込んで来た人生を狂わせた相手が、嘘を吐きながらヘラヘラ形だけ謝れば「TVにも出られる」と思っていようが、南極に行った“だけ”で全て許せる「聖人、南極へ行く」というアニメにしたほうが共感を得られたようです。

やられた行為の重要性は行為が行われた時点の話なんで、南極に行った行かないで大小が変わるわけがなく、南極に行ったら本人が「浮世の小さいことだった」と気づくというだけですよね。
そう考えると一話のカツアゲの場面は、あんな小さくてどうでもいいシーンをいれた制作者の器を表していますね。恐喝未遂なんて刑法に規定がある程度の、悪質だと判断されても最長で懲役10年ってだけの小さな事なのに。そんな程度の事に、「ざまあみろ」ですよ? 恐喝されても告訴する小さい人なんて、いませんよね。(カツアゲとは恐喝の隠語です。)
逆に報瀬の100万円はカツアゲをして作ったとか設定で、キマリをカツアゲして出会うとかにすれば、ご都合でなかったんです。小さい事なんですから、恐喝は問題にならないでしょう。報瀬がやられたのは未遂ですが、盗られたか未遂かで量刑が決まるわけでなく悪質性が重要…申し訳ございません、小さい事でしたね。

陸上部員達がやったことは小さい事だと、重大な事だと思ってしまっていた私のような小人物にも、しっかり意識させる演出も欲しかったですね。
小さい事なんですから、日向がキマリ達に出会えず、他人を信じられずに無為に歳を重ねて青春時代が過ぎてしまったという、パラレル設定の番外編も見たいですね。11話までの日向のメンタルならキマリ達に出会えなければありえましたし。多くの人が楽しいと感じる時期を孤独に過ごす事になる可能性があったくらい、そんな事は小さな事ですから。

後日談で日向が大学に進学した後一流企業にも遜色ない成績でも、高校中退という学歴で入りたい企業に入れなかったシーンが入ってたら、よかったかもしれません。実際現実で綺麗事でなく可能性は低くない話ですし。人生は大きく狂いますが、そんな事は俗世間の小さな事です。気持ちの上でも。南極に行ったんですから。

嘘をついてヘラヘラ謝った陸上部員を日向が許すと言って陸上部員はスッキリ、嘘を吐かれ続けている事を知っている何ら非のない日向は、余計に思い出すたび「ざけんなよ」と心が痛くなるという結末でも問題なかったでしょう。報瀬との会話と日向の表情から推察すれば、報瀬が啖呵を切らずスルーしたら十分有り得た話ですから。そうなっても小さいことに拘る日向の責任です。南極に行ったんですから。
自殺をしようとしてしまう方は、前に進みたいと思ってはいても不意に「死ねば今の苦しさから救われる」と思ってしまう方もいるそうです。
ですが例え後に日向が突発的に自殺してしまっても、追いつめた相手を更に騙そうとして日向のことは一切考えず自分達だけ救われた陸上部員は何ら悪くありません。そんな小さな事を引きずる日向が悪いんです。《だって南極に行ったんですから。》

小さい事かをチャレンジする、南極チャレンジというのが有っても面白いかもしれません。
漫画「ミスミソウ」のように、家族を惨殺された子は小さい事かとかを判定するとか。
南極チャレンジ審査会を立ち上げて、小さい事かを審査会会長に判定して頂く事になるんでしょうかね。
晴れて“小さい事”と認定された子は南極に連れていってあげれば、全て昇華されてハッピーエンドです。
当人がどんなに傷ついているか苦しんでいるか、そんな小さな事は関係ありません。

そもそも南極に行っただけでそんなに人間変わるらしいですから、現実でも義務教育で南極に行くカリキュラムを設けたらいいんです。いじめ問題も全て解決、確実に犯罪もない美しい国になるんでしょう。{/netabare}

※この追記の部分は、頃合いを見ていずれ消させて頂きます。
 洒落です、はい。

2018.9.  初稿

投稿 : 2019/01/02
閲覧 : 391
サンキュー:

22

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