「りゅうおうのおしごと!(TVアニメ動画)」

総合得点
81.7
感想・評価
847
棚に入れた
3812
ランキング
399
★★★★☆ 3.6 (847)
物語
3.5
作画
3.7
声優
3.7
音楽
3.5
キャラ
3.7

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Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

玄関を開けるとJSがいた…「やくそくどおり、弟子にしてもらいにきました!」

この作品の原作は未読です。
ですが、ヒロインである雛鶴あい役を日高さん、そしてもう一人のヒロインである空 銀子役を金元さん…
これを知った瞬間に視聴を決めた作品です。
それにかやのん、あやねる、唯ちゃんに久保ユリカさんと超豪華声優陣でキャストが固められているのもこの作品の特徴だと思います。

「からかい上手の高木さん」では、耳が喜んでいる…耳が幸せ…という気持ちを抱きましたが、この作品では「5感全てが刺激された作品」といっても過言ではありません。

この物語の主人公は九頭竜 八一
16歳にして「竜王」のタイトルホルダーでもあります。
私は将棋の駒の動かし方くらいしか知らず、棋風も何も知らない只の素人ですが、16歳でタイトルを取る事の難しさくらいは分かります。

心身を限界まで酷使しながら、展開を先読みし勝利への活路を見出していく…
これがどれ程並大抵の事ではないか…この物語はここから始まります。

仕事でもそこまで自らを追いこんだ経験は正直ありません。
そこまで会社からは求められていませんし…
それが「安定」が売りのサラリーマンの特権だと思います。

でも、勝負の世界のタイトルって…水物なんですよね。
常に上ってくる挑戦者を蹴落とし続けなければ、保持することができない…
当たり前だけど私たちとは異質の世界で生きているのが勝負師だと思います。

物語は竜王である八一のところに、見るからに小学生の女の子が突然訪問してくるところから始まります。
その女の子は八一が竜王戦を戦った旅館『ひな鶴』の一人娘である雛鶴あい…
真っ向から将棋と向き合い、傷付き倒れていた八一に水を差しだしてくれた女の子…
そんな女の子が八一のところに弟子入志願にやってきたんです。

16歳の子供とは言え、八一はプロ棋士…
もちろん、小さい女の子相手だからと言って中途半端な将棋はできません。
でも、そこで八一は知ってしまったんです…
あいが棋士として類まれなる才能の持ち主であることを…
それが八一にとって将棋に対する熱いを取り戻したいと思った瞬間でもありました。
こうして八一とあいの棋士としての物語が動いていきます。

将棋…厳かで物静かで…というイメージが先行してしまいます。
確かに見た目に派手さは微塵もありません。
でも、対局者の内面は…激しく燃えているんです。
だって将棋に自分の全てを注いでいるのですから…

その一端が感じられるのは、序盤のあいの対局…
類まれなる才能には、その才能を開花させ耐え続けられるだけの十分な実践が不可欠です。
でも小学3年生のあいにはその実践部分がゴッソリ抜けているのは仕方の無いこと…
それに乗じて勝負を仕掛けるのは世の中の常套手段…弱いところから切り崩す…
決して間違った戦略ではないと思います。

生粋の負けず嫌いな彼女は、八一の一番弟子としての誇りを決して忘れません。
「こう…こう…こう…」
差し手を次々に読み出し、姿勢が自然と立ち膝になった彼女の目には、もう盤面しか映っていません。
そして絶体絶命のピンチに陥った時こそ、あいの本領が発揮されるんです…
そこには普段のにこやかでアホ毛の可愛い女の子の姿はありません。
自分の全部を使って次の一手を繰り出していく一級品の棋士の姿があるんです。
そして自分の一番は自分で絶対守り抜く強い意志と言動…これが彼女の何よりの魅力なんだと思います。

キャラ的にはあいちゃん推しでしたが、物語の立ち位置で一番好きだったのが、八一の姉弟子…金元さん演じる空銀子でした。
幼い頃からずっと八一と一緒に将棋を指してきた彼女…
彼女の「将棋が強くなりたい」という気持ちは半端ありません。
そして誰よりも八一と同じ場所に立つことを望んでいます。

そんな彼女が清滝桂香にポロっと漏らした本音に思わず胸が熱くなりました。
桂「将棋…星人…?」
銀「そう、八一は将棋星人。私たちは地球人…。目で見てそれで考えるしかない。でも若い男のプロや奨励会有段者は、読まなくても駒の動きを掴める別の感覚器官を持ってる…。」
桂「だから将棋星人…?」
銀「私たちと将棋星人は持って生まれたモノが違うの。」
桂「謙遜し過ぎじゃない? 銀子ちゃんはタイトルを2つも持っているんだし…」
銀「ううん…八一の才能は間違いなく、将棋の歴史の中で5本の指に入る。私は女の将棋指しでは一番強いかもしれないけど、男も合わせたら千番にも届かないの。」
桂「……」
銀「将棋星人の住む星は凄く遠くて、その星の空気は地球人にとっては毒。行けばきっと死んでしまう。でも…私もその星に行きたい…」

自分と相手の力量の差が歴然である事を知り、万に一つの可能性が見出せなくても前に進もうとするのが銀子流…
それが自分にとって命を奪うかもしれない毒だと知っていても…それを分かっていても足掻かずにはいられない…
こんなに固い決意を見せつけられたら背中を押さずにはいられません…。
これから歩みを止めない限り、私は銀子ちゃんを応援したいと思います。
例えこれから何があったとしても…

八一と銀子の師匠の一人娘…
かやのん演じる清滝桂香の存在を決してわすれてはなりません。
父親は9段の棋士…気の遠くなるくらい高みの存在であるからこそ、自らも幼い頃から女流棋士を目指すサラブレッド…なのですが、名馬の子は名馬とは限りません。
そして知らなかったのが、棋士を目指すのに年齢制限なんて枷があるということ…
決して彼女が手を抜いていた訳ではありません。
でも、自分より年下で弱冠16歳の八一が竜王…そして銀子は女流二冠…
二人の様に将棋に対して真摯に向き合ってきたはずのに…

年功序列が良いとも正しいとも決して思いません。
ですが、物事や道理には順序がある事くらい分かっているつもりです。
でも自分の立ち位置に対して歯を食いしばっているだけの彼女ではありませんでした。
弟子の兄弟関係なんて関係ない…人生の先輩として伝えたい事があったから…
思い出すだけでも目頭が熱くなる彼女の必死の決戦…

きっと心なんかとっくに折れてた…
「負けられない」一心は人をどこまで強くするのだろう…
彼女の伝えたいと願う熱い思い…触れれば火傷しそうなほど火照った彼女の思い…
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

そして改めて思うのは「本気の思いは絶対に届く」ということ…
ホントはあやねる演じる「もう一人のあい」にも触れたかったのですが、あまりにレビューが長くなってしまったので、こちらは続編が放送されたらその時に記載したいと思います。

オープニングテーマは、Machicoさんの「コレカラ」
エンディングテーマは、伊藤美来さんの「守りたいもののために」と「あの日の夢」
個人的にはオープニングの方が好みでしたけれど…

1クール12話の物語でした。
原作は8巻まで発刊されていて、そのうち5巻までアニメ化されたそうなので、続編が放送されるには原作のストックが今は足りないと思います。
でも、ストックが溜まったら絶対に続編を放送して欲しい作品になりました。
続編…宜しくお願いしますね。

投稿 : 2018/04/01
閲覧 : 276
サンキュー:

27

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