聖剣 さんの感想・評価
4.6
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
魅惑のテンコ盛り
日常からの脱却、
それは既存の枠組みの外側にある。
そこから逸脱することは、ある意味、恐怖と同義だが、
同時に
『知りたい』という欲求を満たす快楽も同居している。
南極ってのは
既成概念の外側の象徴であって
本当に行くかどうかは疑わしいと思って見ていた。
というのも、
第1話の出来がとても素晴らしく、完全に魅了されたからだ!
それこそ
一向に魔法少女にならない『まどマギ』よろしく、
このまま南極に向かうこと無く
学園ドラマとして話が展開したとしても
充分耐えられると思うほどに。
実際のとこ、
中盤の説明的な内容に割いた話は少々単調に…
いや、正直退屈に感じたのも事実。
ただ、そんなことは物語としての緩急の範囲内で
全体としての魅力を削ぐものではない。
で、
この作品はとにかく登場人物が魅力的ッ!
この一言に尽きるが、
その一端は作画が大きく担っていると思っている。
その要因は、
表情の表現がとても豊かという点。
もちろん声優の力もあるだろうが、
セリフに合わせて、崩れるくらいに動く顔の表情は
見ているだけで充分に感情が伝わってくる。
これはリアルな表現と言うよりは、
よりアニメ的な表現という意味においてであって、
たぶんこの感覚は『懐かしい』だ。
近年のアニメの作画は、
書込みという点では日々進化し、緻密さの向上を追い続けていると思うが、
肝心のアニメらしい表現、
特に表情や所作の表現を疎かにされていることに、はたと気付かされる。
もちろん
3DCGに代表される技術革新は目覚ましいがゆえ、
新しい表現方法が今後多く日の目を見るかもしれないが、
その影響でアニメ特有の手書きの良さが失われ
後年ロストテクノロジーとして扱われ兼ねない危うさも感じてしまう。
あと、ひとつだけ注文をつけておきたい。
多くの魅力的な登場人物たち
この誰が欠けても成り立たない作品だとは思う。
が、
彼女達のドラマを全て取り入れたため、
少し主題がボケてしまった印象を受ける。
いや、ボケたというより
それぞれが主張しすぎて味にまとまりがない『ごった煮』状態といったほうが正確か。
主要キャラ一人とっても充分魅力的なのだから、
誰か一人だけにフォーカス、再編集して
その人にまつわるOVAができたとしても驚きはしないだろう。
少なくとも、もっと主役(キマリ)の主役らしい姿があっても良いはずだから。