岬ヶ丘 さんの感想・評価
3.1
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.0
状態:観終わった
運命は刻一刻と・・・
「刻刻」と書いて「こっこく」と読むらしい。「刻一刻」という言葉をもじったのだろうか。しばらく「こくこく」と誤読していたが、「こっこく」の方がより言いにくい。
原作は未読のうえでやや辛口のレビュー。本作の一番の強みは「止界」という時間が停止する世界で、ヒロインたちが動き回るという部分だと思う。もちろん映像としてその点に挑戦したことは評価するが、アニメとしては全体的に面白みに欠けた印象が強い。おそらく漫画媒体の方が「時間が止まる」という表現には最も適していたと感じる。
時間という普遍的なテーマは個人的に好みなので、物語の舞台設定は興味深かった。ただ専門用語とその意味が理解しにくい点もあったのも事実。物語や状況は刻一刻と変化しているのだが、いまいち進展感が映像から感じられない。場面転換があっても、車なども使わず徒歩で移動する演出であり、躍動感や疾走感成分は少なめ。時間が止まるという設定も最初は新鮮さもあっていいのだが、回を増すごとに背景が動かないことにダラダラ感、手抜き感(手抜きはしていのは百も承知だが)を感じてしまった。
またカヌリニなど映像化映えする設定もあったが、作品全体の評価を覆すほどの起爆剤にはならなかったという感想。
最後に気になったのは時間軸に全く変化がなかった点。物語では一度止界に入ると最終話まで現実世界の描写がない。ヒロインが途中で現実に戻る演出は不可能でも、止界から出た人間がその後現実でどうなったのかとか、現実世界から再度止界に干渉しようとする展開があってもよかったのかも。
物語は全体的にバイオレンス色の強く、万人にはお勧めできないだろう。ヒロインの家族への思い、敵方の真の目的など理解できる点はあったが、最終話の展開はやや突飛。時間が止まった世界でただ一人生活するヒロインの苦しさは最終話で十分表現できていたので、ハッピーエンドはよい。一応第一話の伏線が回収されてまとまっているともいえるか。そもそもこの作品の世界観が独特であり、全てを理解していたわけではなかったので何が起きたとしてもそれを受け止めるしかなかったとは思う。
キャラクターの中ではヒロインの祖父が一家の精神的支柱であり、実戦でもヒロインに次ぐ戦力になっており魅力的だった。また雇われ組の迫の真島との関係性も気になるところだったかな。声優さんもお芝居も主演の安済さんはじめよいキャスティングだったのでは。
EDの静止画を活かした演出、また音楽はとてもよかった。
色々惜しいなと思う点があったので、自分だったらこうするなぁなんて作り手になった気持ちで勝手気ままに見てしまった。
視聴日 18/3/29