ようす さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
「ありがとう。この世界の片隅に、うちを見つけてくれて。」
戦争下の呉で生きる女性を主人公にした作品。
ほのぼのとした雰囲気も多くて、
戦争をテーマとした作品の中では、見やすいものだと思います。
もちろん、
戦争の恐ろしさや虚しさもしっかりと伝わってきます。
120分ほどの作品です。
● ストーリー
広島市に生まれ、
軍港のある呉に嫁いだすず。
新しい土地、新しい人たち。
戦争が激しくなっていく中でも、
持ち前ののんびりとした性格で穏やかに過ごしていく日々。
すずが呉に嫁いだのは、1944年。
本土への空襲が始まった時代です。
物資の不足など、
戦争が進んでいる様子が感じられるものの、
すずののんびりとした性格で、
明るく平和に日常が過ぎていきます。
すずのどんくさくておっとりしているところに、
くすっと笑える場面も多いです^^
≪ 忍び寄る戦争の影 ≫
平和な生活の中で、
徐々に濃くなっていく戦争の影。
だけど最初は現実味がなくて。
当時の人たちも、
戦争が激しくなる前は平和に暮らしていて、
いつか戦争で大変なことになるかもなー程度の
危機感だったのだということがよくわかります。
そしてなんとか身を守ってきた世界で、
急に失い始める大事なものたち。
これが戦争。
今まで“普通”だった世界も、
何かを失ったとたん、普通ではなくなる。
すずの目線で毎日を暮らしていたからこそ、
これらの絶望にも感情移入することができる。
大事なものを失ってしまった後悔と、
これからもっと失ってしまうかもしれないという、恐怖の日々。
こういう映画を見ると、
やっぱり戦争はいけないものだと強く思います。
たくさんの人が苦しみ、傷つく。
人生に苦しみはつきものだけれど、
これは必要のない苦しみ。
複雑な想いを抱えて生きた人たちがいたこと。
無念のまま死んでしまった人たちがいたこと。
それらのことに想いを馳せれば、
戦争という過ちから学んで生きていけるはず。
この世界から戦争がなくなりますように。
● キャラクター
すずは普通の女の子。
普通だから、いい。
みんなを笑わせて、穏やかな気持ちにさせる。
戦争で大変な時代でも、
普通で、明るくて、まったりと過ごしている。
辛いこともあるけれど、
そこにある幸せも感じられる穏やかな時間。
これもいいかなって、あらゆることを受け入れていく、
すずの広い心が好きでした^^
相手に見初められて、嫁いで、
愛し合いながら家を守る。
私から見ると、
なんと理想的な生き方かと、羨ましく思います。笑
すずを見ていると、
普通であることは幸せなことだよなーと思わせてくれます。
のんさんの演技も、
キャラとぴったり当っていました♪
● 音楽
挿入歌、主題歌などすべてコトリンゴが担当。
特に強く印象に残る曲はありませんでしたが、
優しい歌声はこの作品とよく合っていました。
● まとめ
戦争下の呉に生きた一人の女性。
ほのぼのしていて、
くすっと笑えて、
恋模様で甘酸っぱい気持ちになれて、
戦争の怖さも感じられる。
2時間惹きつけられっぱなしでした。
素晴らしい作品でした。