「宇宙よりも遠い場所(TVアニメ動画)」

総合得点
93.8
感想・評価
2803
棚に入れた
9760
ランキング
12
★★★★★ 4.2 (2803)
物語
4.3
作画
4.1
声優
4.2
音楽
4.1
キャラ
4.2

U-NEXTとは?(31日間無料トライアル)

ネタバレ

おぬごん さんの感想・評価

★★★★★ 4.7
物語 : 5.0 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

銀世界よりも眩しく、オーロラよりも美しい青春グラフィティ

『ノーゲム・ノ-ライフ』のスタッフが送る、南極を目指す女子高生4人を描いたオリジナル作品

監修協力のメンツがガチなだけに南極や観測隊の描写は非常に丁寧で、また背景作画等もとても良かったと思います
しかし、実はこの作品の南極要素は、豪華な飾りにすぎません
この作品の一番の見どころはずばり、4人の少女たちの青春と友情です!
「何かを一緒に成し遂げようとする」ことのワクワク感、1話時点では他人だった4人が南極への旅を通じ欠がえのない友達になっていく様は、アラサーの自分には見ていてとても眩しいものでした
2話の歌舞伎町を全力疾走する様子とか、もうめっちゃ青春って感じで良かったです
我々にとってはゲロやキャッチを避けたり酔っぱらいを担いだりして歩く歌舞伎町も「そんなの関係ない」とばかりに全力疾走する様に、凄く感動しました…なんだろう、言葉にしにくいんですけどね
こんなにも青春に中てられたのは、同じ花田先生が手掛けた『ラブライブ(無印)』以来です

またキャラ同士の関係の描き方も良かったですね
漠然と「高校では何か特別なことがしたい」と思っていた主人公キマリは設定どおりに平凡で、全体的に抜けていて頼りない子です。南極道中でも何か特別な能力でみんなの役に立つようなこともありません。
基本的には話の中心もギャグの中心も報瀬で、明るく元気で意外と大人だけど所々に闇が垣間見える日向、何より友達を求めている子役アイドルの結月といった、設定もキャラもしっかりとした3人の影にキマリは隠れがちです
ですがキマリは他の3人とは違い、出発前にめぐっちゃんとの問題を解決していて、しかも出発できた時点で「特別なことがしたい」という目標も叶ってるんです
ですから本人も無自覚でしょうが、3人の問題に向き合い共感できる立場にいることができたんですよね
キマリがいるからこそ他の濃い3人が際立つし、キマリだからこそ3人と一緒にいられて4人を繋ぐことができる
地味ですが凄く丁寧に作られた主人公像だったと思います
また6話で進んだ報瀬と日向の関係が11話に活きてくるなど、人間関係の描き方は非常によくできていました

全体的にテンポが良く、また各回の問題はその回のうちに解決してしまう一方で、しっかりと伏線を張って回収しきるなど構成も素晴らしかったです
観測隊に合流した7話以降は割と順調に南極に行けてしまうのを肩透かしに感じた方もいるかもしれませんが、
キマリたちは所詮、経験のある大人について行ってるだけなんですよね
そういう意味では順調でアクシデントの無い旅路もリアリティがありましたし、何より南極描写をアクセントとした青春ドラマにフォーカスできた点で、大正解だったと思います

各エピソードとしては、5話と11話、12話が本当に素晴らしく、思いっきり泣いてしまいました
特に12話はずるい……!!
5話と11話に代表されるようにこの作品では人間の汚さも描かれたんですが、それにスカっとした決着をつけてくれるのも良かったですね
複雑な人間の感情とまっさらな南極を対比的に描く演出も見事でした

声優では何といっても報瀬役の花澤香菜ですね…特に中盤のギャグシーンはほぼざーさん任せだったような……w
音楽は売れっ子作曲家・藤澤慶昌の劇伴がとても印象に残っています
またOPの歌詞「広がるパノラマ 私の青春見つけた」の部分が、作品を象徴するようで大好きです

たった1クールではありましたが非常に濃密な作品で、導入の1話から最終話まで全く隙がありませんでした
キラキラと輝く青春ストーリーに、笑って泣いて感動して、最終話ラストでは一本取られて……
最終回はそれまでと比べたらさほど感動を呼ぶ展開ではなかったのですが、ストーリーの積み重ねと4人の成長を感じ、涙があふれてきました
いしづか監督、花田先生の代表作となるであろう大傑作だったと思います
文句なしのお気に入り棚行きです


~余談1~
ちょうど2月放送のイッテQでイモトが南極に行っていましたので、南極描写のリアリティが伝わった方も多いのではないでしょうか
まあイモトのいた環境(高山)の方がよほど過酷だったので、基地周辺のみが描かれた本作はその点では見劣りするかもしれませんが……
個人的には学生時代一番好きだった地理用語「吠える40度、狂う50度、絶叫する60度」がフィーチャーされたのが、嬉しいような、マイナー用語が広まっちゃってちょっと残念なような…(笑)

〜余談2〜
報瀬が南極に降り立ち叫んだ「ざまあみろ!」ですが、報瀬の名前の元ネタ(正確には元ネタの元ネタの元ネタ(笑))である日本初の南極探検家・白瀬矗の著書の南極上陸場面にも「南極を踏みしめたこの姿こそ、全ての嘲笑に対する無言の応酬でなくて何であろう」とありました
こちらは叫んではいないようですが、南極上陸に際し「ざまあみろ!」という感情が最初に湧き出たあの場面、元ネタにして日本の南極探検の父へのリスペクトだったのかもしれません

投稿 : 2018/04/01
閲覧 : 227
サンキュー:

41

宇宙よりも遠い場所のレビュー・感想/評価は、ユーザーの主観的なご意見・ご感想です。 あくまでも一つの参考としてご活用ください。 詳しくはこちら
宇宙よりも遠い場所のレビュー・感想/評価に関する疑問点、ご質問などがございましたら こちらのフォーム よりお問い合わせください。

おぬごんが他の作品に書いているレビューも読んでみよう

ページの先頭へ