Progress さんの感想・評価
3.5
物語 : 3.0
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
やはり登場人物に魅力があったのだろうか?
BS11でやってたから見てたものの、スリリングな展開以外は妙にテーマ性を掴めなかった作品でした。
この作品は基本的に異能力バトルではありません。
よって、中高生向けっぽくはない。
次にメインキャラクターのほとんどが成人、というかおっさん爺さんヤンキーと、かなりムサイ。
絵柄も腐女子受けするものではないです。
そんな中で会話劇によって感情の機微を描くようなものでもない。
そんなわけでこの作品、かなりマニア向け。
佑河 樹里が霊回忍(タマワニ)を、追い出す能力に目覚めてから、アクションシーンが増えましたが、アクションがメインの作品ではない。
この作品一体どこ向け?
だけど原作ありきでアニメ化しているのだから、一定数ファンがいるはず。
この作品の魅力は何だろうか?
樹里中心に描かれる家族愛?
佐河が持っていた野望と孤独?(少年時代の佐川のトラウマと野望の関連性は?チグハグとしている)
相手の行動の読み合いをする駆け引き?
言い方は悪いが、どれも中途半端に消化していると感じます。
なのでこの作品の魅力は大きなテーマ性にはない。
漫画の時点で存在していた魅力はやはりキャラクター性の良さがあったのだと思います。
アニメだと爺さんは瞬間移動できる駒、というはっきりとしたポジションがありましたが、ただそれだけで魅力的か?といえばそうではない。原作ではもう少し魅力的な人物であったのではないか?とは思いますね。
他の仲間に比べて樹里が敵に対し攻撃的だったり、優柔不断さを嫌う部分に関してもう少し説明があっても良かったんじゃないかと思います。
意外と主要な爺と娘以外の家族と仲間がいいキャラだということはアピールポイントですね。
まず、佑河 貴文。樹里の父親に当たる人物。
家族内での自分のポジションとかにとらわれる小さい人物。小物感、という言葉が良く似合う。
そのくせ、抵抗できない敵に対しては容赦が無い。
家族に対する貢献をしているアピールするためなら道徳を無視する。
平気で嘘をつく。異常性がある。
要するに味方グループ内でのお笑い担当。
お笑いの為に異常性まで付け加えるのはどうかと思いますが、
こういう誰が見ても笑ってしまう浅い人間性を持つ人物も描きだしたのが受けたのかもしれません。
次に、佑河 翼。引きこもりもしくはニート。
真の保育園の送り迎えで外出している所から、軽度の引きこもりと見られます。
このちょっと社会からドロップアウトしたニート兄が真を守るために必死になるシーンは応援したくなります。
佑河 真。保育園生。たまに貴文を困らせるような道徳感を出したり、樹里たちが忘れかけていた、現実世界での家での生活を思い出させてくれるような発言をしたりする。佑河家の日常を守るという点で、真は重要なポジション。
敵側のグループについても少し。
佐河 順治。親玉。教祖様。この人についてはさっきも少し書いたけど、
野望の理由が過去に基づいているかいまいち説明しきれてない。
キャラクター性については、目的の為なら人を騙して利用する、自分と組んで相手に利益が無いと見たらすぐに排除しようとする。
冷静で倫理観のない感じ。悪役としてはふさわしいのかも知れないけど。
間島 翔子。敵から味方になる。この人が樹里と昔あってて、止界術に巻き込まれていて、樹里が間島の家族を助けた為に、寝返ることになるけど、思えばこれが誰が寝返るだのの展開の妙を期待する嫌な雰囲気を作り出しているのかも。
迫。ヤクザの下っ端みたいな格好で子供や貴文と戯れるのが受けたのかも。
強面で意外と常識があるみたいなキャラが受けたのかな。
さて、ここまで登場人物の魅力を書きましたが、最終回について。
創始者の妻であるマリヤの存在について。
これが作中でほのめかされていたり、見つけようと努力していたなら、納得できましたが。
あいにく何の説明もなく登場。樹里のカヌリニ化のときになぜ見つけられたかも不明。
そしてすべてをあっさり解決していくマリヤ。
ここについてはご都合主義、ということで理解を諦めるしかないと思う。
以上、ストーリーのテーマ性は強く訴えてくるということはなく、ご都合主義で最後を終わらした為、後味が悪い。
同期作品と比べて、この作品が劣らない、もしくは勝っているのは、青年誌系のキャラクターデザインから来るシックなイメージと、登場人物の個々に個性があり多少は魅力的なことでしょうか。