岬ヶ丘 さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
藤井聡太六段(現実)>九頭竜八一(アニメ)?
アニメPVを見終わった率直な印象。
藤井聡太六段の活躍などで今話題の将棋をアニメ化→「3月のライオン」と若干被るけど、関西が舞台というのは新鮮
しかも内容はかなりアツいという触れ込み→それはいいね!、
しかし幼女の姿がちらつく→うーん。これは結局そっち系?・・・。
期待の反面将棋アニメとは名ばかりの、最後の幼女成分多めの作品になるのではと心配していたが、結論から言うとちゃんと将棋していたし、毎回楽しい作品だった。温泉でいうと熱すぎもせずぬるすぎもせず、ちょうどいい湯加減だった印象。
物語は全体的にライトノベル的な展開や文脈であり、キャラクターもメインヒロインはじめ皆かわいく登場人数も多いので飽きさせないつくりになっている。もちろん女子小学生も出てくるので幼女成分も確かにあったが、個人的に許容範囲内に収まる内容だった。そもそもプロ棋士を目指すのならば小学生くらいから将棋を始めることは普通、という将棋界の常識を盾に堂々と小学生を登場させられる希少なジャンルの作品なのかもしれない(笑)。原作が色々な点で読みやすく整っており、完成度の高い作品。アニメ化においても大きな幹として、作品をしっかり支えていた印象。
また将棋初心者向けに将棋界のルールや戦法についてもわかりやすく説明していた。特に棋士と女流棋士の違いなどは理解しやすく興味深い内容だった。また全体的に「内弟子」制度を活かした設定や、実際の将棋エピソードをアレンジした舞台設定など、原作者の将棋への知識や理解が感じられる一作だった。
アニメの内容に関してもう少し言えば、物語はやや駆け足だったが要所要所でしっかり山場はおさえていた印象。人物描写に関してもややカットされている部分もあったが、アニメの作風を考えれば全体的に充実している。欲を言えば姉弟子の八一への想いなどは最終話でもう少し掘り下げてほしい部分だったかな。
演出もコミカルな部分とシリアスな展開を上手く描き分けており、その繋げ方もスムーズだった。1話と最終話での主人公とヒロインの会話を重ねる演出も上手いまとめ方だった。
ただアツさをウリにしているとはいえ、対局中に主人公自らが「アツい!」を連呼するのはいかがなものかなとは感じた。そこは映像として直接語らずとも熱気を感じさせるような内容に改良の余地はあった気はする。
その他作画、声優さんのお芝居も全体的に安定しており素晴らしかった。
楽曲も素晴らしく、特にOPの「ココカラ」は本作の明るく元気で楽しい作風ととてもマッチしていた印象。またOP担当ののMachicoさんは声優としても出演しており、お芝居の方も違和感はなかった。
本作に限らず将棋を題材にしたエンタメの今後の心配事があるならば、現実の藤井聡太六段の存在か。藤井六段の活躍そのものがもはや一つのラノベとして成立するレベルだと思うので、そこはフィクションが現実に負けないようにと願いながら、今後の展開に期待。
視聴日 18/3/28