chloro さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
90年代の夕方に放送された実験的なアニメ
前半は学園内のドタバタギャグが中心で、後半はシリアスな展開になります。ストーリーの主軸としては、昔天界で天使の卵を落として3つに割れてしまった事故があり、その卵はノエル・シルキー・ミカエルという3人の人物に分離してしまいます。そして現代、それぞれが成長したところから話がスタート。
ノエル(CV 川上とも子)は魔界人の家族に拾われいっぱいの愛情を受けて天真爛漫な女の子に成長し、主人公のユウスケ(CV宮崎一成)に一目ぼれ。彼のために天使になると言い出しさまざまなトラブルを巻き起こします。一方、シルキー(CV小西寛子)は魔界人のディスペルのしもべのような存在として、魔界からノエルを敵視し行動を監視しています。ミカエルは幼いころからノエルを守りやがて天使に帰る事を言い聞かされて育ちます(若干間違っているところがあるかもしれません;)。
個人的に思い入れのあったキャラはシルキーでした。(以下ネタバレを含みます)
前半のシルキーはエヴァの綾波レイのような感情を表さず寡黙で指示通りにうごくようなキャラなのですが、後半には「飽きちゃった」と言って、突然主人であるディスペルの糸をちょっきん切って破壊し、彼の方が操り人形であったことが明かされます。以降ドS女王様キャラへと変貌し、ノエルと同化することになる天使の存在を頑なに拒絶します。シルキーは孤独で愛を知らず育ってきたため、ノエルを憎み社会を拒絶することで自身を保っているというキャラクターです。綾波に影響されたと思われる自問のシーンもあったと思います。
その他にも突然場面が劇場風になったり、色々実験要素の多いアニメでもあります。
最近You tubeの海外でもこのアニメが少し注目されていることを知ったのですが、キリスト教の教えである「隣人を愛せ」を体現したようなシーンがあり、そういうところも惹きつける要素になるのかなと思ったりしました。
ノエルを含めた3人は天使になることで広く人類を愛し地上(家族や愛する人)から離れなければならないという設定になっています。シルキーとミカエルは愛を知らないので天使になれないのですが、ラストで他者が救済されることを願うと羽が生えて、かつ融合されずに個人が独立した天使になります。その後シルキーも社会に足を踏み出すようになります。
エンディングの「愛は海」も思慮深いとてもいい曲です。夕方6時台の放送でBL要素が入っていたことから、キワモノ扱いされたアニメですが、主題はとても良く個人的には見ないともったいないアニメかなぁと思ったりします。