oneandonly さんの感想・評価

4.1
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態：観終わった

女子高生の南極への旅を、現実感を考慮しつつ描かれた青春物語

世界観：６
ストーリー：６
リアリティ：８
キャラクター：６
情感：８
合計：３４

そこは、宇宙よりも遠い場所──。
　何かを始めたいと思いながら、
中々一歩を踏み出すことのできないまま
高校2年生になってしまった少女・玉木マリたまき・まりことキマリは、
とあることをきっかけに
南極を目指す少女・小淵沢報瀬こぶちざわ・しらせと出会う。
高校生が南極になんて行けるわけがないと言われても、
絶対にあきらめようとしない報瀬の姿に心を動かされたキマリは、
報瀬と共に南極を目指すことを誓うのだが……。
（公式サイトより）

今期（2018冬）に、他に面白い作品がないか探していたところ、比較的評判の良い本作を視聴してみたのが経緯です。

{netabare}高校生の女の子４人で南極を目指すという、あり得なさそうな設定なのですが、その目指す理由、４人組の結成の過程、南極に行くために何をすればよいのか、といったあたりがリアリティをおさえながら作られていて納得のできる滑り出しでした。（母親が観測隊で、南極で亡くなったという動機設定は満額回答。実際に死亡事故は起こっている）

南極のことを考えるのは、邦画の南極物語（古すぎるな）以来くらい縁が遠く、宇宙よりも遠い場所というタイトルは、心の距離から妥当かもしれないなと思いました。南極物語は南極に残されたそり犬が死んでいき、タロとジロだけ生き残るという物語だったと思うのですが、世界の果てで生き物が生きていくのは難しいのだという印象が強く残っています。

さて、本作は４人の主要キャラを掘り下げつつ友情を深めていく作りで、Ｂパートは毎回のように情感を揺さぶられました。ただし、後半はそれがお決まりのように感じられてしまったのは少しもったいない気もしました。そうですね、大分昔の記憶ですが、あの花が毎回のようにＥＤに入るあたりで情感を高めていたように思いますが、あの時の感覚に似ているかもしれません。

個別回で印象的なのは、パスポート紛失の6話と、日向の昔の部活仲間との関係にスポットが上がった11話（報瀬の言葉は突き刺さりました）。随所で登場する名言も見どころでしたね。

「引き返せる内は旅ではない。引き返せなくなった時に、初めてそれは旅になるのだ。」（2話）
「思いの強さとわがままは紙一重である」（3話）
「空にある星が全てと思うなかれ」（4話）
「人には悪意があるんだ。悪意に悪意で向き合うな。胸を張れ」（5話）
等

最終回の別れるところでは４人が固い絆で結ばれていることがうまく表現されていました。少し物足りなかったのは、リアリティ重視ゆえか南極で特段のトラブルがなく、ストーリーに山場がなかったことでしょうか。

あと、リアリティ面でのツッコミは、12話の膨大な未読メールのシーン。返信のない相手にそんなにメール書かないよなぁって思ってしまいました。{/netabare}

＜2018.4.3追記＞
{netabare}あにこれのレビューで絶賛が多く、自分の評価に不安を覚えたため12話を見直してみました。よりもいは11話まで評価が上がり続け、ヴァイオレット・エヴァーガーデンを超えて今期の覇権アニメになるかと思ったところで評価が下がってしまったのですが、そのターニングポイントとなったのが12話でした。この回は涙腺崩壊したとのレビューも多く、自分が流し見をしていたとかで感情移入するための何かを見落としていたのではないかと思ったのです。

しかし、再視聴しても自分には響かなかったです（評価変わらず）。報瀬が母に送っていたメール数は1000通以上。母が行方不明になったのが３年前とのことですから、毎日メールを送り続けていたくらいの量になります。報瀬が母親の死を引きずっていることは理解できますが、日々の生活の中で、時にはメールを送りたくなくなる日もあるのが普通だと思いますし、友人３人がそれを部屋の入口から見て大泣きというのも過剰演出に感じました。（報瀬が何を見て声をあげているのかわからないと思うのですが）

思い出したのはＳＡＯ２期の終盤。そこも過剰演出を言って顰蹙を買った気がしますが、感動させるためのシーン作りという意図が感じられてしまうと、引いてしまうのです。個人的にはもったいないと思う所でした。{/netabare}

あり得なさそうな女子高生の南極への旅を、相応の現実感を考慮しつつ描かれた青春劇。青春ドラマが好きな方におすすめできる作品かと思います。

（参考評価推移：3話3.8→5話3.9→6話4.0→8話4.1→10話4.2→11話4.3→12～13話4.1）
（2018.1～3視聴）