おぬごん さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
現実はライトノベルよりも奇なり
『のうりん!』の作者・白鳥士郎による「このライトノベルがすごい!」連覇を達成したラノベが原作
恥ずかしながらアニメ放送直前まで内容を全く知らず、ドラクエ的世界観で「りゅうおう」が活躍するよくある異世界転生モノの作品なのかと思っていましたw
ストーリーは、名人とならぶ将棋界最高峰のタイトル「竜王」を最年少で獲得した主人公が、10歳の女子小学生を弟子に持つことになって…というもの
少年プロ棋士を主人公とした将棋モノといえば放送時期も被っていた『3月のライオン』がありますが、同作が人間ドラマにフォーカスを当てていて将棋が+αになっているのに対し、
こちらは女流棋士を含めたプロ棋士の仕組みや、プロ棋士ネタ、観戦記者やニコ生なんかも絡めて本格的にプロ棋士を描いています
キャラクターもライトノベルらしく本作の方が記号的かつ漫画的で、ストーリー展開も少年漫画を思わせる、シンプルに熱いモノでした
そうなんです、この作品思った以上に熱かったんです!
女子小学生を弟子に取るという設定からロリコン的なイロモノなのかと思ってしまっていましたが、挫折・努力・友情・勝利と王道を征く展開は素直に楽しむことができました
ギャグ中心に原作からのカットが多いみたいなので、アニメとしての調整が上手かったのもあるんでしょうね
『のうりん!』もそうでしたが、作者のギャグは若干やり過ぎ感があるので……w
CMで「Blu-rayの内容は完全版」と言っていたので、円盤で原作ファンへのフォローもあるんでしょう
また先述のプロ棋士ネタも良かったですね!
名人の「決め手を打つ時に手が震える」「相手がつまらないミスをすると不機嫌になる」といったモデルとなった羽生さんの癖や、歩夢の「相性が『貴族』」「リップクリームを塗ってから投了」といった佐藤天彦名人のエピソードなど、にわか将棋ファンの私でも気付ける描写が多々ありました
各対局にも元ネタとなった対局・棋譜があるようなので、将棋ファンも楽しめる作品だったのではないでしょうか
また奨励会や女流棋士のシステムなども分かりやすく、将棋の入門にもなりうる作品だと思います
キャストではやはり、ヒロインのあいを演じた日高里菜ですかね
さすがロリを演じ続けて10年…素晴らしい破壊力でした
余談ですが、日高里菜をはじめ、金元寿子、佐倉綾音、茅野愛衣、小倉唯、橋本ちなみと、何だか艦これキャストが多かったような…w
唯一ダメだったのは、あいの父親役の水木一郎ですね
堀江美都子との大御所アニソン歌手キャストをやりたかったんでしょうが、大事な役なのに完全に素人演技で残念でした
放送前は完全にノーマークでしたが、可愛くて熱くて思った以上に楽しめた作品でした
ライトノベルには安易に異世界に転生したりせずに、こういった新たな境地を模索してほしいものです
~余談~
さて、この作品の主人公・八一は16歳にして竜王になった天才棋士です
現実の最年少竜王が羽生さんの19歳ですから、まさに「僕が考えた最強の棋士(作者談)」といえるでしょう
ですが、皆さんご存じのとおり八一を超え得る逸材が現実に現れてしまいましたwww
アニメ放送中の2月には、八一が苦戦した羽生さんを下して一般棋戦優勝を達成した彼に対し、作者もツイッターで「商売あがったりだ」と言わんばかりに愚痴ってましたw
羽生さん自身も作中の名人に先んじて永世七冠を達成しましたし、作中で八一と歩夢が記録した最多手数記録もアニメ放送中に現実で塗り替えられてしまいましたw
ですが、野球の大谷翔平なんかもそうですが、現実のトッププロがフィクションを超越していくのはまさに「プロの凄さ」を感じることができ、とてもワクワクするものです
今後も藤井聡太棋士には、あらゆるフィクションを超えるような夢を見させて欲しいですね
……作者としては何とも言えない心境でしょうけどねwww