岬ヶ丘 さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
タイトルに騙された・・・(いい意味で)
地球を滅ぼす超生物であり、同時に主人公たちのクラスの担任である殺せんせーを暗殺するため、奮闘する教え子たちの2学期からの学園生活を描く。異色の学園作品の2クール目。
1期を見終わった後、原作となんか違うもやもや感を感じて辛口だった印象の作品。そのせいか2期が放送された後もなかなか見れず棚に残っていた一作。しかし季節もちょうど春、卒業の季節にこの作品からも卒業しときたい。
その結果→さよなら殺せんせー( ;∀;) 卒業( ;∀;)
この作品の最も優れたところは原作力、特に緻密で計算された設定やストーリーでしょう。2期では山場は多々あるが、やはり茅野の暗殺や過去が大きな転換点となっており、そこから殺せんせーの過去、死神との最後の戦いを経て、クラス全員での先生暗殺とこれまでの伏線も綺麗に回収されて無駄のない構成になっている。
人気作品でありながら長々と引き延ばさず、きっちりと描き終わる姿勢に当時感銘を受けた記憶があります。以前原作者がテレビ出演で、「結末をある程度計算したうえで描いている」と語っていましたが、そのロジック的な感覚はどこからくるのでしょうか。
アニメの話に戻ると原作に忠実に作られており、スピード感はかなり速い。また原作の漫画的長所を生かした演出(漫画でよく見る背景やセリフ)なども印象的に使いながら、ラストまで全速力で走り切った感がある。
アニメの強みとしてはやはり声優さんの演技。殺せんせー役の福山さんのキャスティングは殺せんせーの過去エピソードでも活かされていたと思うし、特に終盤の殺せんせーの難しい役どころをしっかりと表現されていました。最後の不良役も福山さんというのも憎い演出。
また渚・業・理事長先生を演じた渕上・岡本・速水さんのお芝居も素晴らしかった。もっともこの作品のキャラクターは全員が主役と言っていいくらいなので、その意味では3Eの生徒役の声優さん全員に拍手です。
楽曲も良曲が多く、疾走感がありながらもどこかセンチメンタルなOPや物語の余韻を残すED、挿入歌の使いどころ。EDアーティストの宮脇さんの歌唱力は非常に大きかったのでは。
全体を通して岸監督の原作を活かした作品作りが光っていたと思います。最近だと「月がきれい」なども素晴らしかったですが、とにかく扱うジャンルで多彩でありながら、どれも完成度が高い。監督はリアル殺せんせー?
実際のところ「暗殺教室」という物騒で殺伐としたタイトルからは想像できないほどハートフルで道徳的な内容というギャップが、この作品の特徴。故人も本当に重要なキャラクターだけで、ただ殺して終わりという無駄なつくりにはなっていない。変化球的な設定を面白く使いながら、あくまで内容としては王道を行く部分がよくできてました。1期から一転、2期でだいぶ印象が変わりました。
この作品をみて渚のように殺せんせーに憧れて教師を目指す若者が現れるのかも・・・、と思うとなんだか不思議な気持ちになりますね。現実の先生も悪いことして捕まってないで、殺せんせーを見習って頑張ってもらいたい。覗きとかはダメですが(笑)。一味違った角度から青春を感じさせてくれる、珍しい感覚の作品でした。
視聴日 18/3/24