タマランチ会長 さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
戦争の影が平和な日常を少しずつ蝕んでいく 後世に伝えられるべき戦争映画の金字塔
貧しくも平和な少女時代から、少しずつ戦争の影がのぞきこんできます。
配給が減り、野草を積み、防空壕を作り、闇市ではインプレ、連日の空襲警報…8月6日がカウントダウンで近づいてくると、すずさんの呑気さと対比され、ドキドキしてしまいます。
はるみちゃんと一緒に右手をふっとばされてからは、もう観てるこっちも笑うに笑えんようになってしまいました。もうここからは、吐き気がするほど悲しくて観てられないくらいになります。
すっかりネガティブ思考になってしまった私としては、最後に拾った女の子にしても、爆心地で被爆して、一晩母親の死体と過ごしたのですから、すずさんの妹と同じように原爆症で長くは生きられないのではないかと思うと、エンディングの束の間の幸せもより悲しくなってしまいました。
胸に突き刺さるようなせつなさは、心底戦争って嫌だと思わされる作品でした。薄っぺらい反戦映画とは一線を隔します。ほたるの墓と隔年で夏休みに地上波で放送すべきです。
日常の描写だけでなく、空襲の迫力もリアルで、本当に怖い。淡々と描くから空気感まで伝わってきます。マイマイ新子を見たことがある人なら、この監督にお金を出したいという気持ちが分かるし、お金を出しておつりがくるくらいのものを見せてもらえたと思います。知っていれば私もお金出したかった…。
上記は映画館で1回視聴、日本映画専門チャンネルで見直してからの感想です。