たわし(爆豪) さんの感想・評価
3.2
物語 : 3.0
作画 : 4.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
ジャンプのラブコメ
知っているだろうか?少年誌ラブコメの発祥は「サンデー」でも「ジャンプ」でもなく、「マガジン」であることを。。。
1978年「翔んだカップル」原作:柳沢きみお が走りだとされている。
遅れて、少年サンデーで「うる星やつら」「タッチ」と始まり、その大ヒットで少年ジャンプもラブコメ漫画を連載せざるをえなくなった。鳥山明の「ドクタースランプ」は、本当は則巻千兵衛を中心としたドタバタギャグが初期案だったものの、当時のトリシマ編集長に「女の子出して恋愛させろ」と言われて困惑した結果、アラレを出すことで決着したのは伝説である。
その伝統とも言えるラブコメ枠だが、1980年代~2010年代でのラブコメの変容は凄まじい。
80年代や90年代は、まだ当時の若者の流行や恋愛模様とシンクロし、漫画と現実の恋愛模様が重なる少女漫画的なものが多かったのに対し、00年代~10年代においては、少年誌において恋愛そのものがフィクションとして語られている。だれも今の時代の風俗と漫画が一致していると思って読んでいる読者は少ないだろう。
それだけでなく、ファッションをひとつとっても髪型や服装や登場人物の趣味嗜好などが多くの場合、ファッション雑誌やTVから影響を受けて漫画を描いていた時代から、今の時代はアニメコスプレ用品の一種であり、現実とは別次元の話になっている。
これらの状況を踏まえると、我々読者が考える漫画に求めるものの変容と言えるかもしれない。
最近の少年誌を読むと分かるが、今の時代の絵作りはアニメやライトノベルから影響を受けていることがよく分かり、デッサンの整ったアメコミ調の劇画は急速に衰退している。特に僕と同年代の漫画家の画面はアニメ化を前提に考えているようなキャラクターデザインであり、企画の段階でもメディアミックス前提でキャラクターを作っていることがよくわかる。漫画は読み物ではなく、「メディア全体の一部の要素」として漫画があるという形である。
これは海外の漫画出版社の状況によく似ている。MARVELやDCはコミックは既に映画の付随するテキスト留まりであり、主体は各会社に所属するキャラクターであり、映画であり、キャラクターグッズやテーマパークの運用である。
そのことが多くの読者にとって良いことなのかはわからないが大手の出版ほど今後は漫画単体ではなく、キャラクタービジネスとして運用してゆくことになるのだろう。