STONE さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
人間ドラマ性に優れた、異形バトルもの
伝奇的な要素を背景にしたバトルものを想像していたが、
それ以上のモノを持っていた作品。
序盤から各キャラが異常なまでに感情を剥き出しにするの
だが、それが過去に起因しており、過去に何があったのかが
明らかにになることで、その理由が作品自体の謎として判明
していく過程が見応えがあった。
その過去もかなり重いもので、ライトな雰囲気の作画とは
相反するために意外性が強かった。こうした重い過去を
背負っているため、各キャラ達は表面的印象とは異なる性格を
持ち合わせており、その辺がキャラにより深みを与えていた
感があった。
案山子同士のバトルも見応えあり。バトルそのものも
そうだが、現代の東京でいきなり始まるバトルに対する
一般人の反応をきっちり描いているのが、ある種の
リアリティを持たせてくれた。最近のこの手の類の作品だと、
異形の存在が現れるのが当たり前になっている設定だったり
する作品が多かったりするが、そういう意味ではこの作品は
真面目に作った怪獣映画を思い出させる感覚があった。
それにしても隻達は、東京でも平気で案山子を動かし
ちゃうんだな。案山子の存在は秘密ということになっている
のだが、おそらく徹底した秘密主義で守られたのではなく、
空守村がたまたま他とは隔離された場所であったために今に
至るまで秘密が守られたという偶発性が高かったのだろう。
本気で秘密を守ろうという意識があったのなら、
瀬能 千波野のように外部から来た人間の前で簡単に案山子を
見せたりしなかっただろうし。
結局、空守村では隻達は普通に動かしており、村民もそれを
普通のこととして接しているが、その意識のままで東京で行動
した結果なのだろう。そういったことも含めて、空守村の
住人と、史場 日々乃に代表される東京の人間との意識の違いが
随所に描かれており、それがより空守村を異質な存在として
感じさせてくれた。
あと演出も上手い。
特に詩緒絡みで多かったのだが、シリアスなシーンに笑える
ような要素をぶち込んでくる。これって一歩間違えると
グダグダになるところを絶妙なバランスで入れてくる。これに
よってともすれば重くなりがちな雰囲気を軽減しつつ、
キャラの感情表現をより豊かにしてくれた。
あと引きがメチャクチャうまくて、
「この先どうなるんだ?」というところでエンディング
テーマが劇中に被り、エンディング内で次回のシーンが映ると
いった構成で、とにかく先が気になった。
1期でとりあえず話をそこそこまとめることもせず、本当に
話途中で終わってしまったが、最終話の最後に
「To Be Next Story」と出したからには、第2期は絶対に
やらなきゃいかんでしょう。
最後に音楽について。
ここでのレビューでは劇中のBGMについては色々と書いたり
しましたが、OP/EDの主題歌についての好き嫌い、良い悪いは
敢えて書きませんでした。
で、この作品はOPとEDのいずれも石川智晶さんが担当。
最近はOPとEDが同じアーティストという作品はかなり少なく
なっているため、それ自体が印象的ではあった。
そのこと自体は一概に肯否は言えないが、少なくともこの
作品においては作品独特の空気感を持たせるために、非常に
役立っていたように思える。