Ka-ZZ(★) さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
自分を信じるな…お前を信じる俺を信じろ。無理を通して道理を蹴っ飛ばすっ…それがグレン団だっ!!
この作品は2018年3月時点、あにこれの総合得点ランキング22位で90.3点を叩きだしている名作の中の一品…
3,700件近いレビューが書かれていて、16,900人が棚に入れている作品…
放送されたのは10年前…それなのに今でもこのポジションを維持し続けているのは、それだけの魅力が詰まっているからにほかなりません。
この作品の視聴に至った理由はとても簡単…
2018年冬アニメの中で個人的に絶賛している「ダーリン・イン・ザ・フランキス」はとてもTRIGGER臭のプンプンする作品ですが、ダリフラを視聴していると妙な懐かしさを感じる気がするんです。
少し昭和チックなところ…
触れたら火傷しそうなくらいの熱を持っているところ…
これって「キルラキル」や「リトルウィッチアカデミア」に通ずるモノがあると思います。
でも、この作品の制作会社はGAINAXでTRIGGERではありません。
作風が似ているのに制作会社が違うなんて…
と思って調べてみたら、監督の今石洋之さん、メカニックデザインの吉成曜さんはTRIGGERに所属している上、シリーズ構成の中島かずきさん、キャラデザの錦織敦史さんは、何らかの形で上述した作品に関わっていたことが分かりました。
集まるべくして集まった人たちだからこそ作り上げられた作品といっても過言ではないと思います。
じゃなかったら、これだけの熱量を持った作品はそう作れないでしょうから…
あにこれ総合得点ランキング…22位の実力はやはり伊達ではありませんでした。
この物語の主人公は、ジーハ村に住む14歳のシモン…
この世界での人間は全員地下の穴ぐらで生活しており、シモンは来る日も来る日も穴掘りばかりしながら暮らしていました。
気弱で引っ込み思案な性格から決して友達は多くなかったシモンですが、そのシモンの良き理解者がカミナという17歳の熱血漢でした。
カミナとシモンの組み合わせ…見た目は凸凹ですが、お互い慕い合っている間柄…
シモンが笑っていられるのは、カミナが背中を押してくれるから…
カミナが熱血漢たりえるのは、シモンが縁の下の力持ちとして支えてくれるから…
だからお互いにとってはなくてはならない存在だったんです。
日の光の入らない穴ぐらでの生活…これに閉塞感を感じない人はきっといないと思います。
それはカミナにしても同じ…
そしてある日…これまでずっと強いられてきた穴ぐら生活から脱却できる千載一遇のチャンスが二人に訪れるのです。
このチャンスをモノにしない二人ではありませんでした。
ライフル使いのヨーコと、メカニックのリーロンと一緒に地上を牛耳る獣人族との戦いが始まり、グレン団の物語が動いていきます。
私は、世の中気合で何とかなるなんて事は微塵も思いません。
綿密な計画と準備…そして見合うまでに蓄積した実力と踏み出す頃合いがより成功を確実なモノにすると思っています。
だから、カミナの気合から発せられる言動は、私の範疇を遥かに超えていました。
序盤は「何といい加減な…」と思わなくもありませんでした。
でも、その気合に心も身体も慣れていくから人って本当に不思議です。
そして一度慣れると、今度はそれがないと寂しさを感じてしまう…
まるで麻薬の様なカミナの熱血漢ぶり…この世界の中ではなくてはならないエキスだったと思います。
人を引っ張って…魅せつける力…カリスマ性と言うんでしょうか…
それは不確かなモノ…だけど、その力に安心感や希望を抱き縋ってしまう…
そしてそれらを全て受け止める力量が確かにカミナにはあったと思います。
だから、これはいつもと同じ…いつもより激しく苦しかったけれど、いつも通りの今日を過ごしたら、明日に備えてしっかりご飯を食べて休息を取る…
だってどんなに疲れていても、寝不足だとしてもそんなの獣人にはお構いなしなのは分かり切っていること…
明日は明日でまた戦いが待っているのだから…
だからいつもの毎日が繰り返されなければならなかったのに…
どこで歯車が狂ってしまったんでしょう…
激しくたたきつける雨が大粒の涙と泣き声をかき消します…
こんな姿が見たかった訳じゃないのに…
でも彼らに立ち止まる事は許されていませんでした。
第1部の立志編「これは、まだ自分の運命に気づかぬ一人の男の物語。」
第2部の風雲編「これは、運命と闘い続ける男の物語。」
第3部の怒涛編「これは、運命に裏切られながらも、自分の道を探し続ける男の物語。」
第4部の回天編「これは、戦闘因果に支配された宇宙の運命に風穴をあける男の物語。」
グレン団の前にはたくさんの敵が立ちはだかります。
仲間と団結力も以前よりずっとずっと増したけれど、やっぱり楽しいことばかりじゃなくて…
でも、このグレン団のみんな…凄いんです。
ここぞという時には自分を顧みる事無く、そして何も厭わず道を作って、それを後進にキチンと伝えようとするんです。
そしてバトンを託された仲間が、そんな気概に気付かない筈がありません。
先陣の思いに全力で応えようとなりふり構わず突き進もうとする姿勢…
敵が多ければ多いほど…強ければ強いほどみんなの全力が手に取るように伝わってくるんです…
アニメを見始めたばかりの頃…何も知らなかった私は作画の綺麗な作品を好んで視聴する傾向がありました。
でも今なら分かります…このような作風じゃ無ければ伝わらない思いがあることを…
全身が痺れる…を通り越して涙が溢れるほど彼らが格好良かったのが、ラスボスと対峙するグレンラガンと13本のドリル…
地に刺さる1本1本のドリルにはこれまで苦楽を共にしてきた仲間たちの雄姿…
キッと前を見据え、腕組みする13人はこれまで決して順風満帆だった道程を歩んできた訳ではありません。
満身創痍という言葉が安っぽく聞こえるくらい身体と精神に数えきれない程の傷を受けてきました。
ヨーコの風になびく赤く長い髪が万感の思いを膨らませると共に、軋轢も絆に変えられることを見せつけてくれるんです。
こうして始まる最終決戦…それまでの過程を踏まえ見どころだらけの作品です。
強いて欲をいうなら、ヨーコにはもっと幸せな道を歩んで欲しかったのが本音ですけれど…
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。
2クール計27話の物語でした。
半端ない熱さ…クラクラするほどの熱量を持った作品でした。
あにこれ総合得点ランキング22位の実力も納得ですし、作品の威力に圧倒されてしまいました。
引き続き劇場版を視聴したいと思います。