oneandonly さんの感想・評価
3.9
物語 : 5.0
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
3人のホームレスと赤ちゃんという異色設定で人間模様をコンパクトにまとめ上げた作品
世界観:5
ストーリー:9
リアリティ:5
キャラクター:7
情感:6
合計:32
東京・新宿。元競輪選手のギンちゃん、元ドラッグ・クイーンのハナちゃん、家出少女のミユキのホームレス3人は、町の片隅で威勢よく生きていた。そんな彼らはクリスマスの夜、ゴミ置き場の中からひとりの赤ん坊を見つける。ギンちゃんは、すぐに警察に届けるべきだと主張するが、ずっと赤ん坊を欲しがっていたハナちゃんは、勝手に“清子”と命名して大はしゃぎ。結局、ハナちゃんに押し切られる形で3人は自分たちで清子の親探しをすることに。手掛かりはスナックの名刺と数枚の写真だけ。それでも3人は希望を抱いて奔走するのだが…。
(allcinema ONLINEより)
amazonプライムにあるのを見つけたので、どこかのおすすめアニメ記事に紹介されていたのを思い出して視聴しました。
本作は2003年に公開。近年の美麗な作画に慣れているので、キャラデザを含めて世界観への加点はなしです。{netabare}ホームレスが主人公なので、電車で移動する際の、周囲の反応が非常に臭いがきついことを示していたので、そこはリアルなんですが、その後のタクシー乗車や発砲者の家、病院などでの話し相手の反応にリアリティを感じられないという、少しもったいないことになっていました。常に彼らから臭いを感じるのは凄いリアルでもあるんですけどね。
リアリティは先の臭いの問題のほか、最後の飛び降りからの着地が若干優しい演出だと思ったくらいでしょうか。こんなに関係者が次々と奇跡のようにつながっていくのはあり得ないんですが、それを言うのは野暮。
一方、ストーリーは秀逸。捨てられていた赤ん坊の親探しから、主人公たち3人のホームレスになった経緯や人間関係を描きつつ、親や子供との再会、発端となる事件の解決へとつなげていく。{/netabare}
終盤はアクションとしてもしっかり動きがありますし、緊迫する場面もあります。約90分という時間の制約がありながら、隙のない話の組み立てで構成されています。この点は本作をすすめる人の気持ちを理解できたところです。
映画の尺で気軽に楽しみたい方向け。全体評価としては良作水準である4.0にぎりぎり届かなかったですが、一般の大人も楽しめる作品だと思います。
余談ながら、赤ちゃんをホームレス3人で育てるのは無理です。泣きわめくのはもちろん、ミルクをあげられなければお腹が満たされず延々と泣くでしょうし(アニメのように都合よく泣き止んでくれませんし、夜中も泣きますし、泣き声は鼓膜に響きます)、排せつの処理にも大量の紙おむつが必要です。授乳ができない状況では、寝かしつけるために数時間抱っこをしなければならなくなります。(死ななかったとしても、泣き声に気付いた警察官から職質されるのがオチです)
(参考評価推移:3.9)
(2018.3視聴)