tag さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
ファンタジーとしてのよりもい
これは間違いなく現実にはありえないおとぎ話だ。誰にとっての? それは小淵沢 報瀬にとっての。報瀬のようなイタイ奴は普通、ずっと痛いやつなままだ。トンデモな夢は叶わないし、同志は現れないし、心を許せる友達も現れず孤独なまま一生を終える。報瀬はブレない。三宅日向が友人関係で苦しんだときもあくまで自分ごととして捉え、日向の内面に土足で踏み込んで自分の正義を貫く。こんなことしたら日向が却って傷つくかもという躊躇は報瀬にはみじんもない。なぜなら、報源は絶対に正しいと、自分に間違いはないと堅く信じているから。いつか、三人の仲間の誰かが、報瀬にとって許せない行動=まっすぐでないとき、が来るだろう。その時、報瀬はその仲間を受け入れることができるだろうか? 何話でその局面が訪れるかはわからないけど。その時、報瀬には自分の正義より仲間の(止むに止まれぬ)不正義を受け入れてやって欲しい。それこそが、それだけが、痛いやつが痛いやつでなくなれるたった1つの可能性だから(もっとも、先輩を差し置いてトップの記録を出してしまう日向も、友達宣誓書を書いてくれとお願いしてしまう白石 結月も、親友を毎日傷つけていることに全く自覚がないキマリも、それぞれに痛いやつではあるのだけれど)。そしてそれは、報瀬の孤高に共感しながらよりもいを見ているだろう、多くの痛いやつに対する最高のエールだから。
追記:(最終話を見て)
4人は最後まで「まっすぐ」なままでしたね。でも、報瀬は最後に母にとっての南極は「場所」ではなく仲間と過ごす「空間」だったことに気付けたからきっと救われてイタイ奴じゃなくなったと信じたいです。なにしろ、イタイ自分と同じ時間を過ごしてきた、長い髪と100万円を惜しげもなく南極に捨てて来られたのだから。