ゆうき。 さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
自分が人間であることを証明せよ
ある日突然死に、サイボークとして蘇生させられた犬屋敷壱郎と獅子神皓。
手に入れた能力をどのように使い、どう生きていくのかを描いたストーリー。
生きることの意味、人間とはなにか。
人として生きてきた記憶を持つサイボーグははたして人間なのか?
人は自分だけで自分を人間だと認識し、肯定するのは難しい。
自分を人間だと認めてくれる存在がいて初めて自分が人間だと認識できるのです。
自分が生まれてすぐに、「私は人間だ」と言える人はきっといないだろう。
壱郎と皓はある日突然サイボーグとして誕生し、自分が本当に人間なのか安定になりました。
壱郎は他人を救うことで、皓は他人を殺すことで自分が化物ではない、人間なのだと実感していました。
ここで正義と悪という対比が生まれました。
本来なら壱郎と皓は同じ存在だったはずです。
しかし、壱郎と皓が対峙したときの「俺が悪役で、じじいがヒーローか」というセリフ。印象深い。
皓は自分が化物で、壱郎が人間だと認識させられたからこそ涙を流したのではないかと思います。
両者ともサイボーグで人間ではない。
「あんたも俺とおなじだ」は他人を殺すことでしか人であることを実感できなかった皓の苦悩。
本当は壱郎に「君も私と同じ人間だ」と言って欲しかったと思います。
同じ境遇だからこそ分かり合えるものがあったはずです。
しかし、両者は対立。
どちらかが人間でどちらかが化物であるということです。
自分が人間であることを証明するために、手に入れた能力で戦うのはとても皮肉な運命ではありませんか。
クライマックスでは人間であり化物であったからこそ、ここまで生きてきた意味が、意義があったと思えたのでしょう。
ただの人間だったら、あるいは化物だったら成し得なかったでしょう。
善と悪、人間と化物。
これらの対比構造が素晴らしい作品だったと思います。
最後に、麻理ちゃんホントかわいい。