「夜明け告げるルーのうた(アニメ映画)」

総合得点
68.8
感想・評価
119
棚に入れた
450
ランキング
1995
★★★★☆ 3.7 (119)
物語
3.6
作画
3.9
声優
3.6
音楽
3.8
キャラ
3.6

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ネタバレ

岬ヶ丘 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6
物語 : 3.0 作画 : 3.5 声優 : 3.0 音楽 : 5.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

言葉って音楽、気持ちって音楽

 さびれた港町で鬱屈とした気持ちを抱え日々を送る中学生の男の子・海が同級生からバンドに誘われたことをきっかけに、人魚のルーに出会う。海はルーと不思議な体験をしていく中で明るさを取り戻していく。しかし人魚の存在が町の人々に知れ渡ったことで人魚を町おこしに使おうと画策する者、古くから伝わる伝説から人魚を忌避する者が現れ、ルーや海たちは人間の感情という大きな渦に巻き込まれていく。お陰様のたたりによって危機に瀕する町の人々を助けるルーやその父たちだったが、その力にも限界が見え始めたとき、海はルーに向けて心を込めた精いっぱいの歌を歌うのだった。

 人魚・ルーの登場によって対立していた人魚と人間、あるいは町の人間同士が町の危機を乗り越え、明るい町になったという基本的にいい話、といのが見終わった第一印象。湯浅監督他作品同様、物語は比較的シンプルだが、やはり演出がとにかく独特。とにかく様々な面で画面上の動きが激しいので、画的な情報量は多い。ラストのカタルシスも味わえたが、他湯浅作品に比べるとややおとなしめな印象も受けた。

 登場人物も安定のバタバタ感のなかで、しっかりとキャラの過去や葛藤を描いていた印象。特に海の祖父の過去や恋人を失ったおばあちゃんのエピソードは素晴らしかった。多くの町の人々にとって辛い過去や消し去りたい記憶を、人魚伝説と重ね合わせてしまうことで蓋をしてしまっていたのかも。

 主人公を通して伝えたかったメッセージは「自分の伝えたいことを伝えることって、大事だよね」といった具合か。そして歌も誰かに自分の気持ちを伝えるための手段の一つで、作品全般を通して強い効果を発揮しており、特に主題歌「歌うたいのバラッド」がそれを代弁してくれている。

 演出面では人魚が操る海の水がジェリー状になって縦横無尽に画面を駆け巡り、音楽が鳴り始めるといきなり人々は踊り始め、全体的に色彩豊かな美術、独特のカットなど見所はたくさん。ただ普段の背景描写はリアルな部分もあり、その使い分けや落差も印象的。

 全体的に「人魚」という設定のせいか、過去作品に比べると作品のもつ荒々しさはややマイルドで、意図する視聴層の狙いがあまり見えなかったか。マイルドとはいえ湯浅演出は健在で、子供に見せるにしては少し刺激が強すぎる気もした。ただ「夜は短し」に続き劇場版作品を2本連続公開というのは凄まじい。そのモチベーションはどこからくるのだろうか。

視聴日 18/3/7

投稿 : 2018/03/13
閲覧 : 251
サンキュー:

10

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