tag さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
ツンデレの原点
世間一般ではツンデレキャラの元祖はアスカ・ラングレーだとされている。だが、これは間違いだろう。ツンデレキャラの元祖はモンスリーだ。
モンスリーは冷血で人の命などなんとも思わない、使命のためには躊躇なく自分の命さえ投げ出す女性として描かれている。作中、彼女の欠点が描かれることはほぼない。なんでこんな優秀な女性がレプカなんかに仕えているのかと疑問に思うくらいだ。
モンスリーは強い。ハイハーバーの侵略でガンボートを破壊されたときでさえ、バラクーダ号を接収すればよい、と言ってのける。彼女は失敗を知らない。彼女がようやく敗北を認めるのは、これ以上ないほど下に見ていた、ハイハーバーの民衆の力に敗北した時だ。
それから、モンスリーは変わっていく。彼女は「馬鹿ね」という言葉を発するようになっていく。それはいつも彼女が女性とか、友達とか、いままでは一度もなかった「一個の人間」として扱われたときのテレカクシである。「馬鹿ね」というとき、彼女はうれしいのだ。
自分以外の人間はすべて(除くレプカ?)は馬鹿だと思っていた時には一度も口にしなかった「馬鹿」というセリフが、自分が完全じゃないと認識してから発せられるようになるのは間違いなく、皮肉以外の何物でもない。
アスカの有名なセリフ「ばっかじゃないの」は彼女が本当に馬鹿だと思っている相手には決して発せられない。彼女が「ばっかじゃないの」という相手は決まって彼女がもっとも意識している、意識せざるを得ない相手だ(例えば、エリートの自分を差し置いて初号機のパイロットになった少年、とか)。
モンスりーにとってのダイスがエヴァンゲリオンには存在しなかったため、アスカは壊れるしかなかった。だが、優秀で自分より(明らかに)低い相手に素直に好きと言えず、「馬鹿」といってしまう、というただその一点において、アスカではなく、モンスリーこそツンデレの原点だと僕は思う。