「虹色ほたる~永遠の夏休み~(アニメ映画)」

総合得点
63.9
感想・評価
127
棚に入れた
587
ランキング
4104
★★★★☆ 3.7 (127)
物語
3.8
作画
3.8
声優
3.7
音楽
3.9
キャラ
3.6

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ネタバレ

蒼い✨️ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4
物語 : 3.0 作画 : 3.5 声優 : 3.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

あにめ昭和昔ばなし。

アニメーション制作:東映アニメーション
2012年5月19日に公開された劇場版作品。
原作は、アルファポリスより発行されている川口雅幸による小説。
監督は宇田鋼之介。

【概要/あらすじ】

小学6年生のユウタは、昨年に父親を交通事故で失くしている。
彼が一人でバスで向かう先は、蛍ヶ丘ダム。
生前に父親に連れられてダム近くの林にカブトムシを採りに行った思い出の場所だ。
林の中で迷い込んだユウタは昔話の世界の住人のような不思議な老人に遭遇する。
喉の渇きを訴える老人にスポーツドリンクを差し出すユウタ。
老人が言うには、これから雨が降るという。
天気予報にそんなの無いと言い、老人の言葉を信じないユウタ。
老人と別れた後、ユウタは大雨に見舞われ崖から転落する。
水の流れに呑み込まれながら老人の声が聞こえる。
気がつくとユウタは丘に倒れていた。
そこは、ダムに沈む前の蛍ヶ丘の村。老人の力で村人の記憶に細工がされていて、
ユウタは、最初に出会った小学3年生の少女・さえ子のいとことして扱われ、
彼女のお婆ちゃんに迎えられて家に泊まり、昭和52年にタイムスリップした事を知る。
そして、老人に言われるままにユウタは村で一ヶ月の間の夏休みを過ごし、友だちを作っていくのだった。

【感想】

居候の下りで『魔太郎がくる!!』の『ヤドカリ一家』を連想したが、気の所為に違いない。

これは、大人から子供たちに向けた道徳教材みたいなノスタルジックな健全映画?

手書き作画で描かれた郷愁たっぷりな田舎アニメではあるが、
町内の子供会で上映してたら、子供はアクビをして寝てそうに思った。
子供がこれを観ても面白がらないだろう。

何故かと言うと、これは平凡な子供ユウタが『あれ?あれ?え!ええ?』言いながら、
妹みたいな、さえ子や同い年のケンゾーと田舎の日常を楽しむだけのアニメである。
ユウタは自発的に何かをするわけでも無い。

昔の田舎の自然、村社会の大人と子供、もしくは子供同士の人と人の交わりを見せることで、
スマホ世代の現代人に感じ取って欲しいものがあるのだろうが、
今の子供には今の時代で育まれた価値観と原風景があり、
大人が美しいと感じるノスタルジーに付き合わされても。
田舎への感情移入やユウタへのシンパシーが生まれるかは疑わしい。
過去にも今にも、良い物も足りない物が両方あるのだから、
時代時代を美化するのも蔑むのにも意味は無い。

人にとって大切なもの、何十年あとでも不変な宝物はそれぞれ違う。
料理でいえば、慣れない味はいかに高級で珍重されていても美味しくなかったりする。
音楽で例えれば昭和40年代のフォークソングやグループサウンズを平成生まれに薦めたところで、
無条件で飛びつくのはマニアであろう。ビートルズのように世代を超えた素晴らしさもあるにはあるが、
そういうものは一握りだ。大多数は当時を思い出しつつ聞くから感傷に浸れるのであって、
好き好きの感覚は万人の共通ではない。新しいものは、いずれ古くなる。
古いものの多くは理解されなくなって淘汰の果てに、
数十年経っても色褪せること無く語られ続ける一部のものだけが名作と呼ばれる。
世代を重ねる中で、忘れられ埋もれていくのは極々当たり前。
古き良きものを年寄りから若者に伝えようとしても、価値観の隔たりは大きいのだ。
今の年寄りにしたって子供の頃は年寄りから『今時の若いもんは』と言われてきた、それが世代の連鎖である。

これは年寄りが若者にノスタルジーを押し付けているアニメなのかと思えば、作者は1971年生まれと意外と若い。
昭和に良い思い出を持つ40代が子供時代を懐かしみ感涙するための作品、もしくは子供と一緒に観て、
『こんな時代があったんだよ!』と話の種にする類のものなのかもしれない。

にしても、昭和50年代ってそんな昔だったっけ?と作中の情景への違和感が強い。
カセットビジョンが発売されたのが昭和56年、初代ファミコンが昭和58年。作中は昭和52年。
しかし、このアニメは昭和30年代でも通用するぐらい物が無い田舎である。
今時の萌え田舎アニメとは違うベクトルで見せたいものが第一で、かなり作為的な気がした。

最後まで観たがこのアニメは、田舎の良さを知らしめるのにも、ちょっとわざとらしさを感じたのと、
シナリオの転換点や着地点がが安易な感動モノみたくなってしまったという二点で良作になりえなかった。
特徴的な作画と松任谷正孝の音楽とユーミンの歌に彩られているがシナリオ自体は平凡だということで、
この作品を語る言葉が特に思いつかないので、このあたりで〆ることとする。

と!言い忘れてたが、1時間22分ぐらいで『ホーホケキョ となりの山田くん』みたいに、
作画が急に写実的になるのだが、演出意図が意味不明だった。大平晋也というアニメーターが描いたらしい。


これにて感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。

投稿 : 2018/03/05
閲覧 : 372
サンキュー:

26

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