不如帰 さんの感想・評価
3.7
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 2.5
キャラ : 3.5
状態:今観てる
京アニが視聴者の信を問う作品であると認識
8話まで視聴。
世界観や人の目や髪の色、顔つき、社会性や産業背景などから現実世界でいうなら戦後のイギリスあたりをイメージしました。
「想いを綴る、愛を知るために」というキャッチコピーのもと、代筆を通じ人として成長する一人の少女の物語です。
まず代筆という仕事を基盤にストーリーを構築しているところは個人的に目新しさを感じています。
”愛を知るために人として成長する物語”という観点だけでいえばハードの部分は多種多様な想像がつきますが、そこにあえて地味な代筆屋というソースを用いたこと、そしてここまで話を盛り上げられたのは評価したいところです。
一応、全体を通しての印象としては現段階では概ね良好です。
完全ではないようですがほぼ一話完結に近い設定と構成にしている点、これは代筆の仕事ひとつひとつを取り上げるうえでもわかりやすいかなと感じました。
その中でヴァイオレットの成長をもれなく表現しているところも面白いです。
また毎話ある程度の結論を出しているにもかかわらず、一方で余韻も残すこのアニメーション演出もなかなかのものです。
続いて詳細ですが、まず大きく違和感を感じたヴァイオレットの人物像について。
戦時中は感情的な表現もあり僅かながら人間味のある描写であったものの、戦後は一転して感情をほとんど持たないような人物になっていました。
ストーリー上そちらのほうが都合が良いことも重々承知していますが、そのギャップが極端に感じ少しいきすぎでは?とも感じました。
人間性についてはこの先次第に取り戻していくことが予想されるのでさほど大きな問題ではないかと思いますが、現時点ではこの感想に。
次にEDテーマ。
作曲は問題ありませんが、歌い手が大きく減点対象に。
どこかボーカロイドのような雰囲気で幼い印象も抱く結果となったこの歌い手さんには、どうしても違和感しか残りませんでした。
世界観や登場人物が他のアニメに比べ大人びている印象もあってか、例えばもう少し落ち着いた声質の方に担当してもらいたかったです。
一方、作画については言うまでもなく高評価。
さすが、京アニブランドです。
そしてもうひとつ、高く評価したいのがSEです。
物音のひとつひとつが"生きている"この感じは、他のアニメではなかなか感じることはありません。
万年筆で筆を落としたときの音、タイプライターの音、ドアの開閉、靴が地につくときの音など、温かみがあって私は好きです。
唯一京都アニメーション大賞の大賞を受賞した作品のアニメということで、京都アニメーションの真を垣間見た気がします。
正直この物語をジブリ作品として観てみたかった一面も感じてはいましたが、物語も含め行く末は非常に楽しみです。