「昭和元禄落語心中(TVアニメ動画)」

総合得点
81.2
感想・評価
904
棚に入れた
4159
ランキング
416
★★★★☆ 4.0 (904)
物語
4.1
作画
3.9
声優
4.3
音楽
3.9
キャラ
4.0

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ネタバレ

oneandonly さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 5.0 作画 : 4.5 声優 : 5.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

人に、芸道に歴史ありを感じられる作品

世界観:6
ストーリー:9
リアリティ:9
キャラクター:8
情感:7
合計:39

「なんもねぇから、あすこへ行くんだ」。元チンピラの与太郎は、刑務所の慰問で聞いた八代目有楽亭八雲の落語「死神」が忘れられなかった。出所後、真っ先に向かったのは八雲の寄席。八雲に弟子入りを懇願し、どうにか内弟子になるのだが……。一方の八雲は、そこに身を寄せる小夏という女性との深い因縁、そして自身の逃れられない過去と、落語に打ち込む傍らで様々な因果に翻弄されていく。
(公式サイトより)

Amazonプライムで舟を編む(こちらのレビューは後回しで)を視聴した直後に、おすすめ作品としてあげられていたのでそのままこちらも視聴しました。むしろ、この作品のほうが、キャッチさんのお気に入り棚で見かけた記憶があって、気になっていました。
(dアニメストアにもよく見たらありました)

第1話が{netabare}50分。何か長いかなと思ったのが37分くらいのところで、導入部から結構物語に入っていました。
与太郎が主人公のように思わせておいて、2話からは八雲(菊比古)の若い時代に遡って、最終回で現代に戻る前(12話)までそちらの時代の物語という構成も良かったですね。

助六(とみよ吉)が死んだ理由、小夏が八雲を恨んでいる理由、そこに至る過程が豊かな心理描写が濃密に描かれていて納得できました、また、落語を知らない視聴者にも、アニメならではの画面の切り替わりやBGMを入れるなどして、落語のシーンを飽きさせないでその魅力を伝えることに成功させています。

最後までほとんど1日で一気見したので、ストーリーは8点以上確定。視聴後の調整にて、前述の観点や作品の芸術性・総合的な完成度の高さを評価して9点としました。リアリティは9点以上確定。キャラクターは8点。キャラクターは、キャラデザが満点とならなかったのと、とことん追いかけたくなる程に好きなキャラはできなかったことからこの配点としています。

情感にも優れた作品で、3話までにも何度かうるっと来ていましたが、12話の芝浜は堪りませんでしたね。落語に興味を持たせた(私は視聴後、Youtubeで実際の落語家さんの高座を閲覧しました)声優さんの力量にも感動しました。元々、声優は作品ごとに様々なキャラクターを演じ分けており、噺家への適性は常人よりも高いでしょうが、プロになりきれる程の超実力派ばかりを揃えた力作だということもアニメ自体から伝わってきました。

最終話でようやく、八雲と与太郎の約束まで時が戻り、更に、10年ほど進みましたが、現代における落語の存在について考えさせられました。落語心中というタイトルも回収しています。{/netabare}

私は劇鑑賞の類が苦手で(眠くなるため)、実際の落語が1つ30分以上もかかるのを知り、集中力を保てるか全く自信はありません。時代はテレビすら通り越し、インターネットにより人々は自分の興味のある情報を得るようになって、他の娯楽との関係ではますますニッチになるのだと思います。

しかし、身一つで人々を楽しませることができ、過去から変わらぬ人情を伝え、共感を得ることができる芸道として、歴史的に受け継がれてきたことは今後も大事にするべきだと思います。

人間の因果や業、愛憎というものか、どろどろとしたものが根底に流れる大人向け作品。久しぶりに傑作と思える作品に出会えて関係者の皆様に感謝です。
引き続き、助六再び篇を視聴します。

(2022.8追記)
作品への思い入れの観点で、元の評価に戻しました。依然、高評価作品ですので未視聴の方におすすめです。

(参考評価推移:3話4.2→5話4.3→10話4.4→12~13話4.6)
(2018.2視聴)

投稿 : 2022/08/20
閲覧 : 561
サンキュー:

41

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