狗が身 さんの感想・評価
3.4
物語 : 4.5
作画 : 2.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
完走した感想。
利己的な本質をもった人類を危険とみなして、その根絶やしを目論むガイゾックとの熾烈な戦いを描いたロボットアニメ。
スーパーロボット系のセオリー的な要素を極力排した作りに面を食らう人が多いかもしれない。
それなりに大きな欠点はいくつかある。
作画は時代を考慮しても酷い部類で、音質もあまり良くない。
キャラに関してもメインでいえば、主人公である勝平を除いた宇宙太と恵子の二人は正直な所、魅力に乏しい。
磨けば光りそうなものは感じられたんだけどな~……。
ザンボットのアクションシーンにしても、タイトルに【無敵超人】と冠しているとは到底思えないような辛勝ばかりの印象が強い。(設定を鑑みれば仕方のないことではあるんだけど)
娯楽性だけでみれば、厳しい評価にならざるをえない。
しかし、そうした欠点を含めても本作は評価されるべき作品だと僕は思う。
それはやはり、本作で描かれたものが非常に強烈で衝撃的だったからに他ならない。
終盤でガイゾックが淡々と語る主張に対して、激しい感情を持ちながらも言葉を詰まらせてしまう勝平の姿が痛ましい。
親戚である宇宙太や恵子、兄といった自分の大切な人たちが犠牲となって掴んだ勝利に喜ぶことも出来ず、喪失感と虚しさに震える勝平を香月を一とした大勢の人物が温かく迎え入れるという一見感動的なラスト。
だけど、自分達の行いが報われたことを宇宙で散っていった面々は勿論のこと生き残った勝平さえ知ることはなく、寒さに震えて眠る姿で物語の幕は降りたんだ。
ここに、なんともいえない味を感じるんだよな……。
勝平たちの行いは非常に立派で尊いものであり、それは長い時を経て、少しずつだが確かに周囲に理解されていった。そこは素直に嬉しく思うことだし、感動する。
しかし、心も身体も衰弱してしまった勝平の姿を思うとどうしても心のどこかで、ガイゾックの主張もあながち間違いではないような気になってしまう。
果たして勝平たち神ファミリーは報われたといえるのだろうか、という引っかかりがずっと心に残るんだ。
沢山の人に感謝される勝平の笑顔で作品を締めて「良かった良かった!」という感想に落とし込まないようになっている辺り、本作の非凡さを特に強く感じる点かもしれない。
月並みな表現だけど、まさに考えさせられる作品。
ここで流れるエンディングテーマの「もう戦いはない~♪」は反則的なフレーズだよ……。