「妖怪アパートの幽雅な日常(TVアニメ動画)」

総合得点
65.3
感想・評価
253
棚に入れた
1064
ランキング
3399
★★★★☆ 3.2 (253)
物語
3.1
作画
3.2
声優
3.5
音楽
3.2
キャラ
3.2

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ネタバレ

どらむろ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3
物語 : 2.5 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

独善的だが押し付けがましくはない。妖怪アパートの雰囲気とジュブナイル成長は良い感じ。

原作は「ヤングアダルト」という講談社の青少年向けレーベルの児童小説。全26話。
主人公の男子高校生が妖怪アパートに下宿、個性的な住人に影響されながら青春するジュブナイルな感じ。

まるで(数十年前の)道徳の教科書めいた古臭さがあり、かなり反発を覚える方も多いのでは…
…ただ特に間違ってるとは思わぬのと、(主人公側の)ダメなところも含めての教訓や成長譚(の糧)と見れば、そう悪い作品では無いと思う。
やや、女性向け作品な印象。
(擁護寄りのつまらんレビュー、一見酷評だけど最大限好意的)

{netabare}『物語』
主人公の稲葉夕士は両親を亡くし、折り合いの悪い親戚に育てられた鬱屈した境遇のさなか、高校進学の為に引っ越した下宿「寿荘」は、なんと妖怪の巣窟であった。
でもこの「妖怪アパート」、結構居心地が良いのであった…

妖怪アパートの雰囲気や住人の魅力が良い感じ。
「自分も妖怪アパートの住人になってみたい」と思わせてくれる。
辛い境遇や、現代のイヤな社会環境との対比で、古き良き温もりを感じる。
幽霊の料理人「るり子さん」の料理が毎度おいしそう、近い時期の「異世界食堂」とは別ベクトルでお食事アニメであった。

親友の長谷との友情が(些か女性向け萌えを感じるが)良い感じ、こういう関係は嫌いじゃないです。
アパート住人による夕士修行パートも地味に好き。
夕士が魔道書のマスターになって活躍するのもコミカルとシリアス両面でまぁまぁ面白かった。

シリアス寄りの話としては、アパート住人絡みの死者との過去話が哀しくも温かみあり。
他にも妖怪による老人ホームなど良エピソードがちらほらある。
若いうちは思い至らない、人は互いに様々な人からの想いで生きている、生かされているのだと…。
まあ確かに、説教くさいです。説教くさくても、良い話は良いものです。

あとひとつ、好意的な見方を。(といいつつ、イジワルな見方かも?)
おそらくは評判が悪いであろう、「投げっぱなし、救いの無い話」
コンプレックスで転落していくキャラが三人くらいいて、いずれもバットエンド。
賛否ある(というか批判轟々?)は当然だけど、私はむしろそれで良いのだと思ったです。
もし夕士が彼らを救い「改心」させたら…何様のつもりだ感が致命的になってしまう。
「結局生き方は人それぞれ」「どう生きるかは自分が決めるしかない」
…残酷だけど、そういう事だと解釈しました。
本作は極めて独善的な作風ながら、意外かもですが、押し付けがましくは無い面があります。
本作の読者(視聴者)は(自分は妖怪アパートの方がいいな~、こうはなりたかね~な~)と感じれば上々、身もふたもないけれど。
多分、原作はかなりキツイ作風なんでしょう。勝ち組(妖怪アパート側)と負け組(不良、狂った教師、くぎゅ声の子)を峻別、君たちはどっちがいいんだ?と。

夕士君は幸運にも妖怪アパートの住人と出逢い、良い生き方を学べた。
夕士とバイトしたコミュ障大学生も、良い方向に変われた。
これらは自分の力だけではなく、誰かのお陰で生きていると思う事が大切なのだと。
だだそれは夕士や大学生の資質にもよる、ダメな奴はダメ。甘えるんじゃねぇ!
自ら落ちていく哀れな人までは救いようが無いよ、というシビアさを痛感する、こんなに厳しい作品滅多に見ないです…。

…ま、まあ、エンタメ的にはどう見ても面白くはない。
妖怪や、闇世界?に関わる人間の大人たちは「今時(といっても昭和後期)のダメな若者・ダメな現代社会」に事あるごとにダメ出し、それに影響されて夕士くんは「健全に」成長していく…
ここら辺の露骨に教育的な作風は、エンタメ的に明らかにイマイチでした。
物語に期待する王道(くぎゅ声の子と和解して救うんじゃないのか!?)にも反している。
王道作品は「GTO」とか「地獄先生ぬ~べ~」「さわやか三組」とか「金八先生」、それらに比べ「冷たい作品」だなぁと思った。


総じて?
私は妖怪アパート側に憧れるなぁ…と。
るり子さんの料理食べたいじゃあないですか。露天風呂もいいね!
妖怪アパートの住人からいろいろ学んだり成長したり、憧れる。
…まあ、私は20数年遅いけれど。
けどまあ、そう悪い人生じゃないよ、アニメも楽しいですし♪
創作作品は、主人公側に感情移入すれば楽しい。それはなろう系の無双ハーレム楽しむのと本質は同じですよー。(暴論?)
意地の悪い作品かもだけど、人生へのメッセージは間違っていないのと、良き生き方選べるか否かは本人次第、という厳しさは嫌いでは無いです。


『作画』
キャラデザは悪くは無いけれど、些か古くて垢抜けない。
青少年向け文庫らしさなのかも。
くぎゅ声の子の顔芸が見所でしたw
食事シーンはまぁまぁ、異世界食堂には及ばず。

『声優』
おそらく本作で一番評価が高い項目。
豪華イケメン声の声優陣、石田彰さんや関俊彦さん、中村悠一さん等々。
速水奨さんの胡散臭い骨董屋さん良かった。
MVPは釘宮理恵さん、こんな嫌な釘宮さんキャラ中々いない…。

『音楽』
そう悪くなかったような。


『キャラ』
主人公の夕士君は青臭いけれど正義感の強い好青年、彼のような友がいてくれたら良いなぁと思える。
…ただ、リア充じゃないタイプ(私とか)から見ると、どうにも「ウマが合わない」タイプかも。
悪友の不良が夕士を毛嫌いする気持ちは分かる、不良だけでなく結構な数の視聴者も…
とはいえ良い奴なのは間違いなく、特に悪印象は無いです。

アパート住人が人間・妖怪問わず個性的で本作の見所でした。
速水ボイスの胡散臭い骨董屋さんがいいキャラしてる。
魔導書の聖霊?がコミカル。
親友の長谷が完璧超人で、男から見てもこんな友が欲しかったと思えた。
山本さんに対する上から目線は(可愛げがないなぁ)とも思った…。

ちょっと不良っぽいが人格者な千晶先生はバランスの取れた良き教育者、でもリア充じゃないとウマが合わなさそう…

善良だが独善に凝り固まった青木先生は、本作で一番「良き憎まれ役」として機能している。
視聴者(読者)に反発されてナンボのキャラなので、彼女はこれで良い。

くぎゅ声だけはかわいい山本ちゃんは「高二病」をこっ酷く拗らせちゃった子、長谷ではないが私も少し可愛いと思った…
でも彼女は青木先生と違い、憎まれ役で終わってはいけなかった。
山本ちゃんの扱い如何では本作の評価好転したかも知れない。{/netabare}

投稿 : 2018/03/11
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サンキュー:

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