にゃんた さんの感想・評価
3.8
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
じっくりコトコト煮込まれている
★結論★
キャラクターデザインと一部演出には不満がある
しかし、おそらく制作者は、表面的な美しさや派手さは
メッセージを伝えるのに不要、或いは有害なものだと捉えていたのかもしれない
表面的にはすごく地味だが、しっかりと愚直に丁寧にメッセージを表現する
私は、そんなNHKアニメが大好物である
以下、詳細
★構成★
伏線散布とその後の見事な回収
各登場人物の心情変化と葛藤の表現、成長の丁寧な表現
世界設定の把握と登場人物達への感情移入を容易にする、コミカルな序盤
そこから物語の核心に迫っていくシリアスな中盤以降へのスムーズな移行
全てが上手く練りこまれていて
すごく真面目に丁寧に作られている
★メッセージ性★
ネタバレになるおそれがあるので詳細は書けないが、
この作品には、しっかりとしたメッセージが込められている
単に、近年のネット社会にまつわる問題提起にとどまらず
技術発展の先には何があるのか、虚構と現実の差異は何か
仮想空間には我々の何が投影されているのか等、
人類にとっての普遍的な価値にさかのぼった原理的なものが表現されていたと思う
★キャラクターデザインと演出★
しかしながら、キャラクターデザインが恐ろしく地味である
仮想空間とのギャップを際立たせるために、あえて昭和アニメ臭の強いデザインにして、現実世界の世俗感を強調しようとしたのかもしれない
もしくは、単にNHK教育テレビ夕方放送枠の影響かもしれない
同様に、戦闘シーンや「間一髪シーン」で、どことなく弛緩した演出が気になった
特に中盤以降のシリアスな展開では、視聴側に不安感を抱かせるくらいの緊迫感があった方が良かったと思う
危険なシーンなのに、何だか垢抜けない「ゆったり」感があるため、どこか安心してしまう
その点での感情への刺激は不足していたと思う
キャラクターデザインと弛緩した演出によって
個人的には、大きな感動は得られなかった
ある程度不安や緊張、興奮の後でなければ感動は大きくならないからだ