Ka-ZZ(★) さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
「日常」って実は、「非日常」の連続じゃない?
この作品の原作は未読です。
作品自体の存在は、私がアニメの視聴を始めた2012年頃から知っていたのですが、視聴初期は物語の展開に抑揚の無い日常系の作品は、どちらかというと優先順位が下がっていました。
そのため、ずっと視聴する機会のないままズルズルと時間ばかりが過ぎていき今に至っています。
今では日常系の作品も全然ウェルカム…
という事でようやく視聴に臨むことができました。
この作品は、2つの軸に応じたそれぞれの物語で構成されています。
物語の舞台と時間軸は一緒なので、お互いに接点が全く無い訳ではないのですが、序盤は全く別物といっても過言ではないくらい接点は希薄でした。
完走して振り返ってみると、その構成自体にも遊び心が溢れていましたけれど…^^
物語の軸ですが…
一つ目は、時定高校に通う3人の女子高生がメインの物語…
元気で明るい性格である一方、勉強が大嫌いで宿題を忘れて廊下に立たされてばかりの相生 祐子。
勉強は嫌いじゃないけれどルールの絡むスポーツは苦手…メンバーの中では一番常識人っぽけれど妙に趣味を隠したがる長野原 みお。
無口でマイペースな優等生…である一方、スケールの違うボケで周囲を翻弄する仏像好きの水上 麻衣。
3人の個性は全く異なっていて、基本的にあまり噛み合っている感はありません。
時々「何故、3人でいるんだろう…?」と首を傾げたくなることもしばしば…
でも、だからこそ面白いんです。
だって、3人はみんながみんな友達だと思っているから…
友達だったら仲良くしたいじゃありませんか…
友達が困っていたら手伝いたいじゃありませんか…
それは極めてごく自然な発想だと思います。
毎日一緒に過ごす中、当たり前の様に友達の状況や変化に気付き、友達としてごく当たり前の行動をとろうとする3人なのですが、そこで頭のネジが2,3本ぶっ飛んだ思考が頭をよぎってしまう、若しくは何もかもが真面目で真剣だけどあと一歩の修正ができないという軌跡を辿った結果、強力なボケとツッコミの図式が成立する…
そしてその次の瞬間…これ以上ないくらいシュールな展開が視聴者に襲い掛かってくるんです。
この作品の凄いところは、ボケとツッコミの単独でも面白いということ…
それぞれの掛け合いによって面白さを助長する点は否定はしませんし、この作品でもゼロではありません。
でもそれぞれが単独でも抱腹絶倒する面白さ…笑いで涙が滲むような面白さを秘めているから、放送開始から時間が経っても根強い人気を誇る作品なんだと思います。
何と言っても、今日時点であにこれ総合得点87.8点を叩き出している作品なのですから…
そして物語の二つ目の軸は、東雲研究所を巡る物語…
白衣とネクタイが似合う、ロボットである東雲なのを作った8歳の天才少女であるはかせ。
外見は殆ど人間と変わらないのですが、背中についた大きなネジがロボットである何よりも証…そんなネジをコンプレックスとして感じているものの、心根は優しく消極的かつ引っ込み思案な東雲なの。
そしてツッコミどころ満載な黒猫の阪本。
この2人と1匹で物語が動いていくのですが、こちらは展開がある程度パターン化しているのが特徴です。
時定高校版は、日常とは言えいつ何が起こるか分からない導火線のそばで火遊びをするような展開がメインだとすると、こちらははかせが普通の8歳の子供のように、駄々っ子になったり甘えん坊になったりと安心感のある展開の中に面白さが刷り込まれている感がありました。
この2つの軸には主要人物以外にも登場人物は数多く登場するのですが、主要人物の引き立て役として存在している訳では無く、どちらかというとみんな勝手に暴走している、という表現の方がしっくりくる気がしました。
先に紹介した二つに軸以外にも複数の小話が物語の間に組み込まれていて、その小話の中でみんながそれぞれスポットを浴びて活躍する、という構成だったからかもしれませんけれど…
完走して思ったのは、やっぱり「京都アニメーションさんは凄い」ということ…
監督が石原さんで、構成が花田さんという組み合わせは本当に鉄板だと思います。
これまで、「中二病でも恋がしたい!」「響け! ユーフォニアム」という、会社の顔になる様な代表作を生み出してきた組み合わせですから当然と言えば当然なのかもしれません。
作画もキャラデザも全ては面白さと笑いに向けた布石…
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。
オープニングテーマは、ヒャダインさんの「ヒャダインのカカカタ☆カタオモイ-C」と「ヒャダインのじょーじょーゆーじょー」
あにこれの成分タグで「神OP」や「OP中毒」と記載されていたので主題歌も楽しみしていたのですが、オープニングは中毒性十分だったと思います。
個人的にはオープニングアニメを含めて後期の作品の方が好みでした。
2クール計26話の物語でした。
この作品の評価が高い理由も分かりましたし、2クール分の時間を投入してもお釣りの出る作品だったと思います。
特に終盤の展開…全く予期していなかっただけに激しく胸を打たれました。
私はこの手の展開に全く耐性が無いんですよね…
続編の可能性…限りなく低いとネットでは噂されていますが、作中での「何が起こるか分からない」を信じて期待していたいと思います。
しっかり堪能させて頂きました。