たまき さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
途中で切ってはいけないアニメ
意外と評価が低いですが、私は非常に面白い作品だと思います。
他の恋愛アニメと比較した際の魅力である点を挙げていくと、現実的を追求している点がまずひとつ。自分は見る気になれませんが一般的ななぜかモテるラブコメ主人公とは違って、特に美緒ちゃんが誰かを好きになる過程がちゃんと、自然に描かれていて納得です。最初は一方通行型の関係性だったのが、次第に瑛太に寄って行く形でメインストーリーが、第4話で陽斗は振られてしまうけどむしろそこから始まる形でサブストーリーがあります。『徒然チルドレン』との違いは、完全に別コースなのではなく(漫画版は多少の交差はあるがアニメ版はほとんどないので)、関係性の近い間柄だからこそある事実を知っている人と知らない人がおり、またある事実を知っている人と知らない人がいて、という形で話に重厚さを与えてくれます。『クズの本懐』と異なる点は、闇的な部分は描写されません。それはリアルを追求しきれていないからではなく、登場人物がみな純粋であるからです。それゆえに、向こうの葛藤的なものとタイプが異なってきます。『月がきれい』は不純物ゼロのアニメのように言われますが、カップルを割いて自分の好きな方と付き合おうとするために遊園地を企画したりするキャラはいませんのである意味ではこちらの方が全員がピュアかもしれません。負けヒロインの恵那ちゃんですら、瑛太と美緒ちゃんのことを応援する気持ちから始まった恋なわけですから、好きな気持ちの根本は独占欲ではなくそちらなのです。
舞台については神奈川県の湘南や善行周辺です。『月がきれい』も地元密着型アニメでしたが、そことの大きな違いはどちらかというとこちらは小モノにこだわっています。例えば赤本なんかは、学校の名前こそ違いますが教学社の協力あり!風景も、そこにあるお店をモチーフに、ではなくそこにあるお店がそのまんま出てきます。タリーズコーヒーやジュンク堂等々。聖地巡礼はさすがに中学生の行動圏内の川越より広いですね。やりごたえ十分です。
あとこの作品は、キャラ原案が比村奇石さんということだけあり、特に女性は魅力的な仕上がりになっています。そして歌は正直アニメ屈指の名曲だなと思いました。特にEDの『behind』はこのアニメを象徴する世界観だと思います。アニメのクレジットの挿絵がまさにあんな感じ。切なげで、儚げなあの感じ。こう総合的に分析してみても、このアニメは名作だなと思うのです。