藤乃 さんの感想・評価
2.6
物語 : 2.5
作画 : 4.0
声優 : 2.5
音楽 : 3.0
キャラ : 1.0
状態:観終わった
プラネテス
2070年代の宇宙を舞台にした近未来SF作品。
科学的根拠にしっかりと基づいた設定と丁寧な描写で、宇宙での仕事や生活にものすごくリアリティがありました。
宇宙船の造形や無重力空間における動作、宇宙空間を表現するための無音演出など、細部にこだわりを感じます。
前半は宇宙ゴミを回収するデブリ屋の日常を描き、後半は国際紛争やテロリズムなどの社会問題を扱った物語。
黒石ひとみさんの挿入歌「A secret of the moon」も素敵で、重いテーマの中に救いを感じます。
ここまでは高評価ですが、非常識なキャラクター達が全てをぶち壊していました。
自分の価値観を押し付け、感情論で突っ走るヒロインに終始イライラ。
言動に深みがない幼稚な主人公や、責任感が全くない馬鹿な課長代理と係長補佐も不愉快。
しかも、彼らが小学生のように騒ぎまわるので、職業ドラマとして全く現実味がないです。
また、ヒューマンドラマと言うには心理描写がおざなりで、言動や葛藤が薄っぺらいし、感情移入できません。
主人公たちの恋愛も唐突に始まり、はっきりしないまま進んで急転直下、突然すぎる結末には唖然。
「しりとり」の演出自体は素敵でしたけど、自己陶酔型の恋愛を見せられているようで釈然としませんでした。
あと、デザインと声がミスマッチな男性キャラが多く、男性の甲高い声がうるさかったです。
キャステイングのせいなのか、声優さんの演技力不足なのかは分かりませんが…
全体としてはそれなりにまとまっていたし、素敵な話もありましたが、時折、構成に違和感を感じました。
突然場面が切り替わったり、時系列が逆転したり、いつの間にか登場人物がいなくなっていたりします。
演出として良いスパイスになれば面白いですが、視聴者置いていけぼりで話が展開するので不可解でした。
確かに、宇宙生活に現実味を感じる設定と描写は随一ですし、社会問題を取り扱う物語としてのレベルは高いです。
ただ、酷い人物描写のせいで台無しなのが非常に残念で、どうしてこんなに評価が高いのか理解できませんでした。