藤乃 さんの感想・評価
4.8
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
COWBOY BEBOP
2071年の宇宙を舞台に、賞金稼ぎの活躍を描くハードボイルドSF。
◆物語
基本的に1話完結で賞金首を捕まえるという内容で展開され、各話それぞれの完成度が非常に高いです。
話によってテイストが異なり、ミステリー、コメディ、ホラー、アクション、サイバーパンクなど振り幅が大きい。
毎回脚本や演出が変わりますが、物語の主軸は一貫しており、かつ各話の起承転結も明快で綺麗にストーリーが完結します。
説明台詞もほぼないのに世界観が理解できるほど作りこまれた脚本や、台詞の行間を読ませるような演出も見事ですね。
渡辺信一郎監督が毎回短編映画を作る気持ちで制作したと言っているように、まるで映画を見たような充実感。
味わい深いドラマがありながら、ストーリー自体は分かりやすく、気軽に楽しめる娯楽性があります。
ただし、物語の核となる主人公の物語に割かれた時間が短く、最後は駆け足気味で物足りなく感じました。
◆キャラクター
メインキャラクターが4人(+1匹)しかいないのに、キャラの個性が濃すぎて物足りなさを全く感じません。
サブキャラも敵側も癖のある人物ばかりで、キャラが立っていて一人一人が魅力的です。
また、必要以上に干渉せず、自然な成り行きで一緒にいる4人の中途半端な距離感やしゃれた掛け合いも絶妙です。
◆声優
超豪華なキャスティングですね。皆それぞれキャラクターにぴったり合っています。
ベテラン声優陣の卓越した演技力が、まさしくキャラクターに命を吹き込んでいるのを実感。
◆作画
1998年の作品ですから作画に古さは感じるものの、現在の作品と比べても全く遜色ないくらい驚異的。
緻密に描かれた背景、色気を感じる人物画、流れるようなアクション、どれもが見応えあります。
◆音楽
作品の一番の魅力は、何といっても菅野よう子さんが監修した素晴らしい音楽の数々です。
まず、OP「Tank!」を聴いた瞬間にすごい衝撃を受けました。
ジャズを基調とした疾走感ある音楽とハイセンスなアニメーションがものすごくかっこいい!
ED「THE REAL FOLK BLUES」は渋く哀愁漂う曲で、味わい深い余韻を残してくれます。
BGMとしてジャズ、ブルース、ロック、ボサノバ、ポップと多彩な音楽が贅沢に使用される異色なスタイルも面白い。
それらクオリティが高い曲と映像を巧みに組み合わせた見事な演出が、この作品の独特な世界観を醸成しています。
ハードボイルドな世界観や粋な台詞、ハイレベルの音楽など、全てが最高にカッコイイ極上のエンターテイメント。
海外でも評価が高く、優れた作品は時代を越えても色褪せないのだと実感しました。
深夜にお酒を飲みながらじっくり観るような、大人向けのハイセンスでスタイリッシュな作品です。