ピピン林檎 さんの感想・評価
3.5
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
色々と工夫している気はするけれども、これだけでは何とも。
※個人的な取っ掛かりの少ない作品なので、感想・レビューもいまいちキレの悪いものになってしまいました。
(以下、本文)
まず最初に、本作への個人評価 ☆ 3.5 というのは、「評価保留」という意味です(※本サイトでは「平均点」や「評価保留」の場合は 3.0 が推奨されていますが、2010年代に入ってから制作された作品はどれも、ひと昔前の作品よりもベースレベルがアップしていると思うので、それを考慮して「平均点」ないし「評価保留」をそれ以前の作品より 0.5 だけ個人的に上げて付けることにしています)。
もともと私の場合は、本作を見る気は全然なかったのですが、
①本サイトを始め、幾つかのアニメ評価サイトでの評判が割と良かったこと
②円盤売上も、第1巻が8,500枚を超えており、平均で7,000枚程度はいきそうなこと、
・・・を知り、気になって視聴してみました。
ただ、視聴し始めてすぐ思ったのですが、宝石って、全然知識がなくて取っ付きが悪い・・・。
フォスフォフィライト(phosphophyllite 和名「燐葉石」(りんようせき))とか、シンシャ(辰砂 cinnabar 和名「丹(に)」、硫化水銀(II)(HgS)からなる鉱物)といわれても頭の中が??状態になるだけで、ここはせめて、ネフライト・クンツァイト・ジェダイト・ゾイサイト(※ダークキングダム四天王)あたりの宝石・鉱物を使って欲しい気がしました。
次に、黒衣の僧侶と月から襲来する者たち(※かぐや姫の迎えの者たちをイメージさせる)ですが、これを見ていて、もしかしたら本作は、「諦観」とか「空(くう)」みたいな仏教哲学をモチーフとする作品に今後発展するのかな?とも思いましたが、せいぜい{netabare}犬型の月人(というよりハヌマン=インドの猿神っぽい)が僧侶に癒されて昇天?している{/netabare}描写があるだけのこの第1期(になるはず?)を見終えた限りでは、まだ何ともいえませんし。
・・・ということで、現時点では、私としてはやはりシナリオ面からも作画面からも、本作の評価を保留せざるを得ません(以下、少し詳しく説明)。
◎シナリオ面の留意事項
とくに、シナリオ面に関しては、本サイトの大勢の意見とは違って、どちらかというとマイナス方向にベクトルが向いた評価保留となります。
というのは、本作の場合、一つ一つの話は、視聴者に飽きられないように引き際で変化球を投げるのを常とする等の工夫を凝らしていて、それを見ている間はそこそこ面白いと思うのですが、さて、全体を見終わって、それで結局これは何の・どんな話だったの?と考えてみると・・・
辛(かろ)うじて、{netabare}主人公フォスの変貌・成長の物語{/netabare}だったのかな?
という感想が浮かんでくるだけで、肝心の一種異様な作品世界への理解が一向に深まっていないこと、に気付いて結構ガッカリしてしまったからです。
1クール12話も視聴者を付き合わせるんだったら、その点はもう少し何か考えて欲しかった気がしますし、これは同じく2017年のヒット作となった『メイドインアビス』を視聴した時にも思ったことなのですが、作品全体が何となく間延びしている(=シナリオ散漫な)印象で、このまま続編が作られたとしても、ピタリと着地点の決まった出来にはなりそうもない(=曖昧な、どちらかというと胡麻化したような陳腐な終わり方をしてしまう)予感しか今のところしません。
もしかしたら、前述の「仏教」モチーフを組み込んだ凄い展開がこれから待っているのかも知れませんけれども(※かなり期待薄)。
◎作画面の留意事項
それから、作画面ですが、本作をフルCGアニメとして優れている、という意見が多く上がっていますが、それも個人的には??です。
というのは、この手のフルCGアニメでは、2013年秋に既に『蒼き鋼のアルペジオ-ARS NOVA-』(制作=サンジゲン)が登場しており、本作を見終えてから改めて同作を少し見直してみましたが、人物の描かれ方も、物質の動きも、バトルシーンの迫力も、どう見ても『アルペジオ』の方が圧勝です(※ついでにいうと、シナリオ面はなおさら大差でアルペジオの勝ち)。
因みに本作を制作したオレンジという会社はCG制作に特化したアニメ制作会社で、2015年冬放送のアニメ『艦これ』のCGパートの制作も担当していたそうですが、この『艦これ』と『アルペジオ』を比較した場合、シナリオ面はともかく、CGによる作画面に関しては、やはり公平に見てサンジゲンの圧勝という判定を下さざるを得ません。
私が、本作のモチーフとなっている「宝石」に関して、ほとんど知識・関心がないために、本作への取っ掛かり具合がもともと弱かったのと同じで、本作を作画面から高く評価しておられる方々の多くは、『アルペジオ』や『鑑これ』のモチーフとなっている「軍艦」(※正確には「艦艇」)への知識・関心がほとんどなく、そのためにそれらの作品が未見となっていて、フルCGアニメとしては(※ディズニー作品を除いて)本作が国産アニメでは一番の高品質と映ってしまったのではないか?という疑念を強く持ちました。
その辺は、個々人が自分の基準で評価すればいいだけの話ですが、私個人としては、上記の理由で作画面に関しても本作に注文を付けておきたいと思いました。
もし今後、続編が制作されて、それもそこそこ評判が良いのならば、改めて視聴して個人評価を確定したい作品です。
◆制作情報
{netabare}
原作マンガ 市川春子(『月刊アフタヌーン』2012年12月-連載中)
監督 京極尚彦
シリーズ構成 大野敏哉
キャラクターデザイン 西田亜沙子
音楽 藤澤慶昌
アニメーション制作 オレンジ{/netabare}
◆各話タイトル&評価
★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回
=============== 宝石の国 (2017年9-12月) =============
{netabare}
第1話 フォスフォフィライト ★ 月人(つきじん)との戦、博物誌の仕事、シンシャの秘密 ※OPなし・ED「鏡面の波」
第2話 ダイヤモンド ★ ダイヤとボルツ、巨大カタツムリ、フォス消滅?
第3話 メタモルフォス ☆ フォスのナメクジ化?、ダイヤの奔走、フォス再生
第4話 魂・肉・骨 ☆ 貝(アドミラビリス)の王ウェントリコスス、海底へ、罠
第5話 帰還 ☆ 王の弟、クオーツアゲートの足
第6話 初陣 ★ アメジスト兄弟との組合わせ、サファイアの月人来襲
第7話 冬眠 ★ アンタークチサイトとのコンビ、流氷の囁き
第8話 アンタークチサイト ☆ 宝石の生まれる海岸、合金の手、連れ去られた相棒 ※ED「liquescimus」
第9話 春 ☆ フォスの成長
第10話 しろ ★ 六つ目の月人来襲、施設侵入、ダイヤ奮戦、月人分裂
第11話 秘密 ☆ 先生と月人、先生への疑念、フィスの決意、パパラチアの目覚め
第12話 新しい仕事 ☆ 月人との対話の試み、シンシャへの仕事依頼・受諾、先生の呼び出し※OPなし・ED「鏡面の波[Orchestra Ver.]」{/netabare}
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★★★(神回)0、★★(優秀回)0、★(良回)5、☆(並回)7、×(疑問回)0 ※個人評価 ☆ 3.5
OP 「鏡面の波」
ED 「煌めく浜辺」