Dkn さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
『 セセセッション!! 』
1966年。長崎県佐世保市。
「西見 薫」は、父の仕事で
転校を繰り返す幼少期を送っていた。
高校一年の夏、彼が新しい学校へ転入した初日。
奇異の目で気分が悪くなった薫は
屋上へ逃げ込もうとするが、
出会ったのは皆に恐れられる“大柄の不良”
「川渕 千太郎」
否応もなく関わりを持った二人には、
“音楽”という共通点があった。
薫はピアノ。千太郎はドラム。
セッションをキッカケに
次第に意気投合していき・・・
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「坂道のアポロン」には少し既視感があって郷愁にかられてました。“西見薫”くんに共感をしてしまったのです。
似てる程度の事なのですが、父の仕事で転校つづきだった時期が少年期にありまして(いわゆる転勤族ってやつです)
やはり転校生って珍しいのでしょう。どこに行っても目立ってしまって、悪ガキに標的にされることもあったり。
同じように学校で“はみ出し者”の悪ガキとつるんでました。仲良くなっちゃうんですよね。どこも一緒だ(笑)
中学に上がる前に父は単身赴任になったので、高校での転校は経験してないですが薫くんの気持ちは少しわかる。
よーし「坂道のアポロン」の話をしよう(*゚∀゚)
このアニメは劇中に流れるジャズと、音楽によって繋がる感覚を目の当たりにできる“セッション”が格好いい。
私の父もジャズが好きで家や車の中でずっと流れてました。今も帰省すれば、父とジャズを聞きに行ったりします。
(父が詳しいだけで、「わぁー、かっこ良いー!」(小並感)でおわりのヘナチョコでございます(ノ´∀`*))
近年でJAZZを題材にした『Whiplash』(邦題:セッション)という映画がありました。あちらより至極まっとうに
セッションするアニメで健康的ですね。あちらは鬼教官との地獄へのランデブーだったので(最高でしたけど♪)
劇中のセッションを見守っていると、なんだか作中のメインヒロインの女の子に共感してしまうことがしばしば。
楽器が弾けないからですかね?対岸の事であり、女性から見た男の世界のよう。まるで手の届かないことに見え、
「男の人ってずるいなぁ・・フフッ(*´ω`*)」
なんて思ってしまいました(私は♂のオッサン)
作中の音楽やOP・ED共に菅野よう子さんが担当していて、この作品の空気を決定づけています。音楽がシナリオの
ベースにあるこの「坂道のアポロン」で大事な空気を作ることに成功している親和性の高い音楽になっていて、
劇中で行われるインタープレイや、一度は聞いたことがあるジャズの名曲の数々が心地よく、この時代が青春期で
なくとも懐かしさを覚えると思います。耳から受けるインスピレーションは心を豊かにしてくれました^^
総括するとアニメらしくないアニメなのです。…漫画原作なのでそりゃそうだと言われれば終わりですけどねw
本末転倒ですが原作が漫画ではなく小説なら、朝の“連続テレビ小説”に採用されたと聞いたほうが納得いくほど。
ここ数年“ノイタミナ枠”をはじめ、この作品と同系統の「アニメらしくない」題材が扱われることが多くて、
ジャパニメーションが裾野を広げている証拠かと考えてます。コンテンツの意義も大分変わってきたのでしょうね。
極めて実写的な題材であり、アニメの名作で尊ばれるような映像表現や“リアリティ”を外す(ズラす)ような、
アニメにしか出来ないであろう、描出、非現実的な物理法則、実写では金銭的に厳しいものなど一切ない。
脚本も奇をてらわず、何か特別なことをしてるわけじゃないし先もある程度予想ができて、そこが良かった。
形骸化した古いコンテンツの形から、時代が移り変わる過渡期なのだと感じさせてくれた作品でしたよ(´ε` )
まだ観てない人は是非とも♪オススメです。