MLK さんの感想・評価
3.6
物語 : 4.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:----
無題
本作は、いわゆる擬人化モノに当たる。オタクコンテンツの文脈で言えば、艦これなどでおなじみの節操のない美少女化である。しかし、この手の分野では例外的とも言える成功を収めたのは何故だろう?
私は、「けもの」というアイデンティティこそが成功のカギだったのではないかと思う。
本作に出てくるフレンズのほとんどは賢くない。よってギャグの構造として、「人間」かばんちゃんがツッコミを入れていく(あるいはツッコめずに唖然とする)という構造が出来上がる。
これ自体は珍しいものではない。美少女ハーレム系、日常系でもよく使われる、垢がつきまくってうんざりするほどのキャラ分担だ。実際に、ボケを担当するキャラクターが馬鹿すぎたり、問題を起こして話を進めるためにキャラが必要以上にアホにされることにイラっとして視聴断念、なんてことを経験した方も少なくないはずだ。
だが、本作ではその部分が大きく改善されている。なにしろ、愚かな彼女たちはもとがケモノだったのだ。多少愚かであっても人間はこれを許せる。なぜなら、人間よりはっきり知能が劣った存在なのだから__。
これは、疲れ切った人間の心にピタリと合っていた。動物のじゃれあいを見て心を癒す人は世界中にいるが、動物を美少女に置き換えると途端にハードルが上がる。そこで、美少女に動物性をミックスすることにより、アニメの少女たちがありえないほど純粋であることに上手く言い訳したのだ。
さらに、あえて幼稚性をいれたことも大成功だったと言える。多くの人間は心に単純さへの欲望を抱えているからである。(もちろん、単純であることと複雑であることの間に上下関係は無い)
このように、視聴者側の意識のレベルを下げることにより、日常系の体裁を保ったままそれを受け入れさせることに成功したのである。
とりあえず、変な部分をリアルに設定したり、テンポを下げることで荒唐無稽さを許容できなくさせていることが多い昨今のアニメの中では、かなり面白い。