oneandonly さんの感想・評価
3.0
物語 : 2.5
作画 : 4.5
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 2.0
状態:観終わった
ジブリの表現を新海流にまとめた作品
世界観:6
ストーリー:5
リアリティ:5
キャラクター:3
情感:4
合計:23
父親の形見の鉱石ラジオから流れる不思議な音楽に耳を傾けながら、思いをはせるアスナ。孤独な毎日を送るアスナは、ある少年と再会するための旅に出ることにする。それはアスナにとって、世界の冷酷さと美しさ、そして別れを知るための冒険の旅となる。
(シネマトゥデイより)
dアニメストアで未視聴作品を探している中で発見したので視聴しました。
作画は秒速よりも後に作られたということもあって綺麗ですね、アクションもしっかり動いていました。ただ、表現がとにかくジブリを想起させるものが多く、作者本人も自覚して意図的にやっているとのことでもありましたが、オリジナリティーがどうも弱く感じました。
世界観としてはラピュタの天空の城をアガルタにした地底版で、{netabare}クラヴィスは飛行石と同じような設定で、アガルタのケツァルトルの中にはラピュタのロボット兵のコピーのような者が。橋の上の熊のような獣(ケダモノ)は、体液の表現といい、イゾクの感じといい、もののけ姫以降のジブリという感じです。まあ、{/netabare}神話は文明間でも共通性があったりしますし、美しさと混沌さの表現としては上質ですが、ジブリの影響が強すぎてちょっと引いてしまったというのが率直な感想になります。
キャラクターもジブリの悪い面を踏襲しています。{netabare}シュンはアガルタから来た言わば異世界人なのである程度許容するにしても、主人公のアスナが現実世界にいなさそうな女の子でした。アガルタを研究していた先生もなんかムスカが太ったような感じ。シンが主人公たちに協力してくれた理由、アスナが危険を冒してまでアガルタに向かった理由がわからなかったです。
この世の果てのフィニステラが、「君の名は。」の片割れ時のシーンで、この作品を連想させるとして採用されたのですね。しかし、先生、その崖から降りるとか無理ゲーでしょ…。ボルダリングの大会で優勝できるような猛者なら現実的な範囲なのかもしれませんけど、そのあたりはわからないのでリアリティ面の評価には反映させていません。
あと、アガルタ人が高度から飛び降りるシーンが何度かありましたが、どういう技術で可能になっているんですかね。あの衝撃をカバーできる利器があれば、武器や防具にも応用されてそうで、原始的な戦闘シーンに疑問を覚えました(ここはリアリティ面に影響)。
反感を買うことなくファンタジー世界を創ることの難しさを、再認識させられた作品です。Reゼロや進撃、メイドインアビスなどを思い出すと、鍵は、世界設定に主人公が苦しむ等、その世界ならではのリアリティ表現が必要なのかもしれません。ちょうど、現シーズン(2018冬)でヴァイオレット・エヴァーガーデンを放映していますが、この観点でリアリティを出していければ納得できるファンが増えるのだろうと思います。{/netabare}
これで新海誠の劇場版作品はコンプリートしたでしょうか。私の評価としては、「君の名は。」、「秒速5センチメートル」、「言の葉の庭」が良作~並作、「ほしのこえ」、「雲のむこう、約束の場所」「星を追う子ども」が凡作となりました。
参考になれば幸いです。
<2019.1.12追記>
ジブリの世界観に近く、オリジナリティとしてあまり評価できないと思いましたので微調整します。
(参考評価:3.1→調整3.0)
(2018.1視聴)