101匹足利尊氏 さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
青春☆キラリ
原作コミックは未読。
実は一話で一度挫折した作品。
理由は決して作品の出来が悪かったわけではなく、
宝石、パワーストーン等の予備知識すらなしで挑んだ私が、
あまりにも重厚な作品世界を処理し切れず頭がショートしてしまったから(苦笑)
100歳、1000歳当たり前の宝石キャラの時間感覚等に面喰らい、
コツコツと硬質なその足音に戸惑っている内に置いてきぼりを喰らい。
そうこうしている内に、なんか{netabare}主人公バラバラになるしw{/netabare}
その他、人知を越えた圧倒的な世界観にKOされた感じ。
これはせめてもう少し勉強してから出直そうと、硬度と靱性の違いなど、
にわかに拾って来た宝石の基礎知識等を頭に付け焼き刃して再挑戦した次第。
で、改めてこの辺りを頼りに作品世界の一端から受容して、無事、完走してみて……。
こういう作品を観ると、作品の一体感って大事だなとつくづく思い知らされます。
アニメを視聴していると、作画だけが突出しているとか、
BGMだけハイクオリティでフロントセンターに出張って来ているとか、
アンバランスな作品に出くわすことも多々ありますが、
本作にはそれが、あまりない所が素晴らしいです。
テカリが目立つCGを前面に押し出した作画にしても、キャラデザにしても、
ビブラートを効かせない純度が高い主題歌にしても、煌びやかなBGMにしても、
独特な巻癖があるレタリングにしても、
正直、各々の要素だけを見ると光沢がキツイと言いましょうかw
これらが果たして一つの作品としてまとまるのかな?
とちょっと心配になりますが、
観てみるとそれぞれが見事に作品世界を構成するパーツとして機能。
研磨、洗練されたアニメーション映像の数々に、終始、感心しっぱなしでした。
そういう点で私が特に印象に残ったのは
第七話{netabare}「冬眠」。宝石たちが専用衣装を着て眠りにつくシーンは、
芸術として突き抜けた魅惑があり、思わず感嘆の溜息が漏れました。{/netabare}
個性的と言えば、主人公フォス役の黒沢ともよさんの
気だるげなボイスも、相当に独特。
『響け!ユーフォニアム』何かでも思いますが、
彼女がひとりごちると独自のゾーンが形成されますw
それすらも作品世界に糾合してしまう辺りにも、さらに本作の力量を実感します。
その他、壮大な世界観も懐の深い作品に丸呑み。
例えば{netabare}「にんげん」は既に滅びた世界なのかもしれないとか、
遙か昔、「にんげん」は既存の肉体を捨てた?とか、
無機物も進化すれば生命足り得るかもしれないとか、{/netabare}
如何にもSF作品なんかが勝負手として繰り出して来そうな設定が、
路傍の石の如く、サラリと転がっているのが規格外。
反面、幾億年の進化と奇跡を越えて、強い輝きを放つのは、
あの人との約束とか、絆とか。
理想の自分との乖離に悶々とするとか、
その力を急激な成長と共に得たことによる高揚や戸惑い、
そんな中で変わってしまうもの、失われていくもの……。
太古の昔、「にんげん」の少年少女たちも抱いたであろう挫折、葛藤、高揚……。
青春とも呼ばれたであろう諸々がキラリと光を放つのが美しくて眩しいです。
その輝きの先を観てみたい。完成度の高いCGアニメ作品です。