岬ヶ丘 さんの感想・評価
3.6
物語 : 4.0
作画 : 3.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
朝ドラ「大正野球娘。」
まだ女性の社会進出が一般的ではなかった時代。晶子は許嫁からの女性への無理解な言葉に反発し、彼がやっていた「野球」でリベンジをするべく女学校に通う小梅たちに一緒に野球をしようと提案する。なんとか仲間や指導者を集め野球を始めるも、なかなかうまくいかない。許嫁のチームはおろか、小学生のチームにも勝てない始末。それでも彼女たちは諦めず、野球も恋も友情に様々なことに挑戦する。そんな女の子たちの一風変わった青春物語。
大正という時代に女性が野球をするという目新しい舞台設定で終わらず、女の子たちが一生懸命に野球に向き合い上達していく姿を丁寧に描いている。最終話での許嫁率いるチームとの大熱戦は見ごたえがあり、思わず目頭が熱くなった。また野球以外にも各キャラクターのお当番回、小梅の許嫁との恋愛、小梅が映画デビュー?など彼女たちの普段の素顔や日常のお話も描かれていて飽きさせない内容になっている。
大正というアニメではほとんど扱われていないだろう時代にスポットを当てた作品。冒頭から当時の時代背景や文化を、流行りの歌にのせて表現している部分が印象的。時代監修としてはどこまで忠実なのかは歴史に疎いのでわからないが、なんとなく当時の時代の雰囲気は伝わってきた。
肝心の野球に関しては短期間での上達ぶりはやや現実的ではないものの、そのあたりが気にならないくらい一生懸命に工夫し努力する彼女たちの姿に胸をうたれた。力のある者、足の速い者、分析力に長けた者、それぞれが自分の長所を生かし、また短所を補い合いながらチームとして団結していくさまをあまり暗くならない程度に気持ちよく描いている。最後の試合の決着については勝利とはいかないまでも、引き分けくらいでもよかったかなとも。恋愛面はやや弱かった感もあるが、1クールでは仕方がないか。
今の世相的にも、NHKの朝の連続テレビ小説の題材としても扱えるよい作品だと感じた。ちなみにNHKの朝の連続テレビ小説の第一作が放送されたのが、昭和36年(1961年)だという。本作「大正野球娘。」の舞台は大正14年(1925年)。彼女たちは野球と共に青春を過ごした後、その朝ドラ第一号をテレビの前で楽しむことはできたのだろうか。
視聴日 18/1/27