aaa6841 さんの感想・評価
3.9
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
霞ヶ丘詩羽の失恋
・4話の解釈
霞ヶ丘詩羽は小説を書いていた。
しかしその作家という属性は、彼女とオタクの主人公を引き合わせてエロシーンを誘発させるためのものでしかなかった。
ところが学園祭の夜を経た彼女はもはや、我々視聴者のために半裸で欲情するだけの存在ではなくなったようだ。
あのとき彼女は失恋して、正妻の座を巡る争いから脱落した。
もう彼女は単なるハーレムエロ要員ではなくなってしまったのだ。
けれども悲しむ必要はない。
だってそっちのほうがエロに深みが出て、見ている側としてはむしろ高揚することができるのだから。
一度終わった彼女が、それでもまだ健気にアピールする姿はグッとくるじゃない。
そんな虚しさの中でこそエロは輝くのだから。
まぁそんな高尚なエロティシズムの話はどうでもいい。
彼女には彼女の人間性があることが4話を見てわかった。
霞ヶ丘詩羽は小説を書いていた。
自分の分身であるキャラクターを好きになってもらいたくて、そのキャラクターを通じて自分を好きになってもらうために、小説を書いていた。
自分をメインヒロインに選んでもらうために、シナリオを書いていた。
そんな詩羽先輩が学園祭の夜、瑠璃として踊ってきてほしいと加藤に伝える。
これは加藤が瑠璃として踊ることで、このときだけは瑠璃をメインヒロインにしてやってほしいという先輩の願いであり、それは自分がメインヒロインになりたかったという想いでもある。
彼女にとってのメインヒロインとは、ゲームの設定上の役割のことではなくて、安芸倫也に選ばれた者のことである。
加藤が瑠璃として倫也の前に立ったときに言った「今は加藤は駄目だよ、安芸くん」という言葉。
それは今、倫也の目の前に立っているのは瑠璃で、沙由佳で、そして霞ヶ丘詩羽であり、その相手は架空の主人公などではなく安芸倫也本人であるということ。
霞ヶ丘詩羽として、安芸倫也のメインヒロインとして踊るということ。
でもそれは、加藤なら瑠璃をメインヒロインにしてやれるということは、自分では瑠璃をメインヒロインにすることはできないと認めたようなもの。
つまり自分はメインヒロインにはなれないということ。
だから瑠璃として踊る加藤と、主人公として踊る倫也をベンチから眺めているとき、霞ヶ丘詩羽は失恋した。
そのとき、自分の分身だった瑠璃は自分の手から離れて、瑠璃とは違う別のものになったのだろう。
そんな彼女の喪失感を感じられた。
霞ヶ丘詩羽にとっての恋愛感情は、手をつないだりキスをしたり半裸で欲情したりすることよりも、安芸倫也の考える理想のメインヒロインに選ばれることが一番大切だったわけだ。
だとすれば倫也が加藤をメインヒロインに選んだ時点で、彼女の敗北は確定していたということになる。
これから新しい形で恋を叶えようとするのか、このままフェードアウトしていくのか。
それはわからないけれども、いずれにせよここが節目になって、彼女のキャラクターとしての性質が変化したのは間違いない。
もう彼女は単なるハーレムエロ要員ではなくなってしまったのだ。
けれども悲しむ必要はない。
そんな虚しさの中でこそ彼女のエロは輝くのだから。