退会済のユーザー さんの感想・評価
3.6
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
すべての人間の心の中に潜む闇
それを浮き彫りにする言葉。
戦争を引き起こし助長させる無意識の悪意や集団心理、それらを作り出す社会の大きな波や流れを「文法」として可視化してみせるという発想が見事だった。
ただ、これはきっと活字で読んだほうが良い。原作未読でもかなりはしょられているのがわかるし、この言葉の面白さは活字でこそきっとよくわかる。
映像作品では見せ方としてどうしてもアクションに寄ってしまうし、そのスピード感についていこうとすると、そこで語られる言葉は頭で内容を咀嚼する前に次々とこぼれ落ちて行ってしまう。
舞台は近未来だが設定は9.11後の現代。戦争へと突き進むアメリカや世界へ警鐘を鳴らしたいという気持ちはわかるが、第3世界の描き方は本当にそれで良いの?という疑問は拭えないし、アメリカ人なのに日本語で会話するという違和感も若干残るから、欲を言えばできれば設定は完全に架空の近未来にして欲しかった。
それでも、テーマも明確でよくまとまっていて文学的、映像作品として十分見応えもあり、伊藤計劃の3作品の中では一番良かった。