岬ヶ丘 さんの感想・評価
4.2
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
過去と今、未来を繋ぐ落語という物語
原作未読。1期から視聴。アニメーション制作はスタジオディーン。
物語の舞台は過去から現代へ。与太郎も真打に昇進し、3代目有楽亭助六その後9代目有楽亭八雲を襲名する。小夏の子・信之助を巡る騒動でも男気を見せ、与太郎にしかできない落語を確立するなど、人間・落語家としても大きく成長。一方の8代目八雲は高座で倒れてからは塞ぎこむことも多くなり、落語からの引退と心中の意をますます強くする。一方で松田の口から、八雲が与太郎と小夏に語った2代目助六とみよ吉の最期に関する本当の事実も明らかになる。その後八雲があの世で助六らと再会し、時代は現代へ。八雲と心中されるはずの落語は今もなお残り、八雲や助六の血は受け継がれ、新たな落語の時代の到来を感じさせるのだった。
2期の見どころとしては与太郎の成長と小夏との夫婦生活、また落語家としての彼の落語観の確立と、落語の境地に至るまでの丁寧な心理描写。一方で落語と共に全てを一人で墓場までもっていこうとした八雲の未練と、助六とみよ吉の死の真相、あの世での3人の邂逅といったあたりだろうか。
1期より1話少ないが、これまで同様全ての要素のクオリティーが高く、見終わった後の余韻とどこか心地いい疲労感がなんとも言えない魅力だと思う。特に2期での与太郎役の関さんのお芝居やセリフは作品を象徴する重要なシーンも多く、改めて素晴らしい役者さんであると感じた。また音楽も相変わらず素晴らしくEDをはじめ、ジャズを基調としたしっとりとした音楽で、物語を魅力的に彩っている。
一点気になった点といえば、最終話で示唆される信之助の父を巡る会話か。個人的にはやや無粋だった感は否めない。とはいえ落語について語る最後の場面の9代目有楽亭八雲の言葉。「こんないいもんがなくなるわけねーべ!」昭和という激動の時代を落語と共に生きた全ての人間と、これからも彼らの思いを受け継いでいく者たちの願いを感じ、思わず胸が熱くなった。
視聴日 18/1/20