disaruto さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
揺らぎの拠りどころ
【概要】
マッドハウス制作、全26話。
電脳メガネというツールが子供に流行し、電脳世界を可視化できる世界が舞台となる。
主人公の優子(ヤサコ)と勇子(イサコ)が、ぶつかりながら成長していくさまを描く。
【感想】
「攻殻機動隊+ジブリ(ハイファンタジー気味)」みたいな作品。
グーグルグラス?が定着した世界と、日本神話風味の都市伝説が混じり合い、世界観が非常に味わい深い。
また、ワクワク・ドキドキ・ハラハラといった要素も多く、作品前半は見ているだけで楽しめる。
電脳世界メインだと作画・演出面で派手さが出ないと思ったけど、全くそんなことはなし。
電脳戦のシーンなど、最近の作品といっても通用するくらい迫力があった。
何かと走っているシーンが多いが、躍動感が素晴らしい。
小動物のような電脳ペットも多く登場し、愛らしさがある。
こういうところが、ホントにジブリっぽい。
作品後半は、夕焼けのシーンや物悲しいBGMが多く、どこかノスタルジックさも感じる。
話の筋が見えづらく・キャラの行動原理も少々分かりづらい。(メガマス社関連など)
だがおおよその疑問点は解決され、主人公二人のストーリーもしっかり完結している。
メッセージ性・エンタメ性も強く、総じて“練り込まれた”作品だと思う。
【不満】
一番の不満はキャラクターのスポットの当て方。
サブキャラの面々は活躍の機会があるけれど、後半の存在感が無さ過ぎて泣けます。
ストーリー・主題に重きを置きに行っている感じは伝わりますね。
あと世界観が難しくて、一発で子供が理解できるかが疑問。
でも映像・話の大筋だけ見ていても面白いのは、流石かと思います。
【考察】
{netabare}○科学とオカルト
科学技術を題材にしながら、あくまでストーリーの骨格はオカルトチックなのが特徴。
最終的にはストーリーのオカルトチックなネタを、作品内の論理的解釈で説明できるのも面白い。
そのオカルトは、日本神話的なものを引用していますよね。
黄泉の国を模したかのような“あっちの世界”、19話の京子が異世界に引っ張られそうになるシーン、最終話での名前を“手に入れる”シーン。
これ全部「千と千尋の神隠し」をインスパイアしていると言われても否定できませんねw
行き過ぎた科学はオカルト染みてくるので、日本神話と組み合わせると相性いいです。
○主人公二人の通過儀礼を描いた作品
本作を通じて、一番感じたのはこれです。
ヤサコとイサコは、性格的には当初から正反対。
ヤサコは迎合的かつ優柔不断で、イサコは独断的かつ頑固。
一連の事件を通じて二人の性格は、多少ながらそれぞれに影響を与えます。
最終的に二人はお互いを“ユウコ”ではなく“ヤサコ・イサコ”の“個”として認め、“成熟した子供”として成長する。
異質の存在を認めることは、幼少期における一種の通過儀礼であり、大切なこと。
彼女たちは最後、中学に進学しましたが、そこら辺を分かりやすく表現したのでしょう。
「触れられるものが本物」云々って話があったけど、「触れられるものだけが本物」ではない。
目に見えない絆や信頼関係を互いに感じ、それを本物であると確信した。
確固たる本物を手に入れ、一段階上の人間へと成長した。
その過程を上手く表現していたと思います。
なんとも教育アニメっぽいですねw{/netabare}
【蛇足】
{netabare}しかし、イサコ様の女王様力には感服ですね・・・
4話とか最高すぎる。
就職先はSMクラブとかいかがで(ry
不満点に書かなかったけど、もうちょっと百合感があればw
最終話とか中々打点の高いシチュエーションだったと思うのだけど。
“名前呼び”で、なのフェイすぐに思い出したあなたは、どうしようもない百合豚です・・・{/netabare}
【追記】
{netabare}レビュー書き終わった後にもう一度、作品を見直したんです。
やっぱり百合感あるかもしれない。。。
イサコの兄の存在感が大きかったのも、百合感薄く見える原因か?
ストーリーを追うのに必死でここを見落とすなんて、百合豚として失格ですw
秘密の共有とか、二人がイマーゴを特別に使いこなせるとか、いがみ合っていた二人の最後の和解とか。
もうこんなの百合じゃん。。。{/netabare}