01oinaris さんの感想・評価
4.8
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
前衛的な表現技法の宝庫
ストーリーはいわゆる怪談話・ミステリー的で普通に面白かったのだが、何よりも度肝を抜かされたのはその映像表現の卓越さ。
旧字体や右読み、幾何学的な世界観、影の動き、突然挿入される活字のみカットや実写融合カット…細かい点を挙げるときりがない。
おそらくこれらを単体として用いるとただの違和感だけで終わるのだが、これらをひたすら組み合わせて一つのアニメとして完成させたのが凄まじい。
「アニメという現代芸術に出会った…」というのが初めて見たときの率直な感想。
以下はあくまで個人的な見解で恐縮だが、人間は調和している画像・映像を見ると無意識的に安心感を覚える。ちょうど音楽で言うところの和音を聞いているように。
逆に調和していない映像・画像を見ると、本能的に違和感を覚える。
本作は、調和していない映像・画像をつなげて全体を調和させている。
結果として、それらに対する違和感は「無意識のうちに」視聴者に刷り込まれてゆく。
「無意識下の違和感」、それが本作の「怪異」の世界観を作り出している。
本作を含め、物語シリーズはそういった表現技法が秀逸で感心させられます。
まさに芸術。日本のアニメが世界に誇れる芸術ですよ。
ただ、あえて不満を言うとすれば…これ見ると目がひどく疲れるんです。調和していない映像が続くので仕方ないのですが。
数話続けて一気に見れないんですよ…歳のせいかなぁ(泣)若い子は大丈夫なんだろうけど。
あとは、本作は西尾維新のラノベ原作で、彼の織りなす珠玉の言葉遊びがウリなんでしょうけど、原作未読だとアニメでそこがすぐ理解できないんですよね。
「せんじょうがはら、とれ」って聞いても、「戦場ヶ原、蕩れ」ってすぐに思い浮かびません。「取れ?」「トレ?」それとも「と俺?」
でもそれを上回る魅力が本作にはあるので、逆に原作小説も読みたくなりました。
少し長文になりましたが、本作の魅力が少しでも伝われば幸いです。