yowano さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
砂海の上の営み、設定が十分に練られたファンタジー
砂漠の海を走る巨大な生き物、その上で暮らす人々の物語です。
独特な世界観ながら美しさや広がりに富み、秀逸なファンタジーになっていました。
現実世界とは全く違う文化と未知が多数存在しており、
物語が進むにつれてそれらが少しずつ明らかになるので、興味深く観ていられます。
まだまだ謎の多い前半より段々全貌が見えてくる後半の方が面白いです。
味方陣営のレギュラーキャラが魅力的だったのも良かったと思います。
チャクロにはいかなる時も他人に優しくできる純真さがありますし、
オウニは不器用ながらも仲間思いで味方を守れるだけの力も持っています。
サミは明るく献身的でチャクロへの好意が隠せていないところが可愛らしかったし、
リコスの健気だが気弱で他人思いのあまり落ち込んでしまう心根に惹かれました。
作画やキャラクターデザインも高いクオリティで安定していますし、
戦闘描写こそ思っていたより大人しくて地味だったものの、
総合してかなり見やすいアニメになっています。
ただ良いところばかりでなく、展開は全般的に雑だったかなと思います。
話を特定の方向へ展開するために味方や敵が急にポンコツになったりするので、
納得がいかなかったり、違和感が拭えない箇所がいくつもありました。
特に王道展開で人が生き残ったかと思えばあっけなく死んだりもする命の軽さは残念でした。
ここで死なせて感動的な展開にしたいという作者の意図が見えてしまっている印象です。
それでも量産型のファンタジーではないと言えるだけの設定の作り込みがあり、
描きたい世界を描くという気概を作品から感じられたので、断じて駄作ではなかったと思います。