ぺー さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
戦時下の日常ってこんなもん
2018.01.14記
だいぶリサーチして作品を作り上げたと監督が言ってました。そのため、フィクションなのですが、戦時下の日常ってきっとこういうものだったんだろうなと今の私たちが納得できるような説得力のある作品に仕上がっていると思います。
ドンパチや悲惨さをことさら煽るような描写はなく、いわゆる戦争ものが苦手な方でもおそらく大丈夫で、鑑賞後はきっとじいちゃんばあちゃんまたはひいじいちゃんひいばあちゃんについて想いを馳せるようになるんじゃないでしょうか。
観終わって、「感動」「泣いた」とも違うなんともいえない余韻を残す作品なので、一見の価値はあると思う良作です。
私は公開直後に劇場で観ました。正直申せば、めちゃくちゃ期待した割にはそうでもなかったと肩透かしをくらった記憶があります。
それは、{netabare}そもそも戦時下の日常がどういうものかある程度の事前知識があって、映画での様々な描写が(実際はすごいことなんですが)違和感がなさすぎて、{/netabare}とどのつまり「日常過ぎるわ」というのが理由になるんだろうと思います。
以下は直接レビューとは関係ないのでたたんじゃいます。
{netabare}
歴史に詳しいとかの人にはごめんなさいですが、おおかた戦中期についてはよく知らないか、それともなんとなくのふんわりとしたイメージがまずはありますよね。例えば
「治安維持法ばりばりで人々は虐げられてたんでしょ?」
「軍部が戦争を煽ってみんな騙されてたんでしょ?」
「全国いたるところ火垂るの墓状態だったん?」
「大東亜戦争って言ったらガチの右翼っしょ」
この前提だと、本作はその先入観とのギャップを感じられてすごい良いと感じるかもしれません。「悲惨悲惨といっててもそこにはあたり前の生活やささやかな幸せはあったんだな、と思いました」となるでしょう。別に戦争に限らずですが、なんでも 光と影 というのはあります。ことさら影を強調し過ぎて実態を捉えづらくしたのが戦後の日本かと。さらに無い影を作る連中も多くいましたがこれはまた別の話。
ここ最近になって、そんな通り一辺倒のイメージに依らない作品もぽつぽつ出てきてるのはいい傾向なんだろうと思います。
{/netabare}
{netabare}
それと、戦争ものの面倒なところについても触れると「反戦」or「戦争賛美」で語られがちなとこですね。いや純粋に作品を楽しみましょうやと。普通の人はそんな外野の声に逃げてきますって。
通底するテーマは魅力的で示唆に富むもので創作意欲を掻き立てられるのに、史実をベースに戦争もの映画を作ろうとするのはハードルが高かったりするようです。だからデフォルメして『ゴジラ(初期のやつ)』や『ガンダム』とかで表現せざるを得なかったりしたのでしょう。最近(とは言っても10年前)でも『コードギアス』でルルーシュが言ってたのは、そのまんま大東亜共栄圏の思想に酷似してたりもします。
{/netabare}
と、オススメの作品と言いつつ「やっぱり戦争ものは苦手」と捉えられかねないこと言って忍びないです。
作品自体は2016年に劇場に足を運んだ2作品のうちの1つ(もう1つは君の名は。)とオススメできる作品にかわりはありませんよ。
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2018.08.31追記
《配点を修正》
実写ドラマ、能年○奈をすずさん役で出してたら絶対観てたと思う。