たわし(爆豪) さんの感想・評価
3.8
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 3.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
フィリップKディックやカートボネガットのような古典SFの匂い
アニメにはブームの波が5回があると言われる。
第一次ブームは「宇宙戦艦ヤマト」
恐らくは日本初のハードSFであり、まったくもって同時期のアメリカのTVシリーズ「スタートレック」にソックリなわけであるが、アニメにSFを真面目に取り入れた作品である。
第二次は「機動戦士ガンダム」
「リアルロボット」と言われるロボットアニメの草分け的存在であり、主人公は熱血漢というよりは平熱系。ロボットを戦車や飛行機と同列に扱うように量産機や弾数があり、資源は「有限」であることを確立した。もちろん人間も含めて
第三次は「新世紀エヴァンゲリオン」
時は1995年世紀末。バブル経済崩壊後の不景気やオウム地下鉄サリン事件、援助交際女子高生、酒鬼薔薇聖斗殺人事件など社会不安が蔓延すると同時に主人公も極度の根暗化。謎や複雑な設定など。社会不安そのものをアニメ化した作品
そして本作第四次アニメブームの火付け役といえば本作。「涼宮ハルヒの憂鬱」である。
この作品には、所謂「萌え」アニメの定着化。高画質ハイビジョンの導入。インターネットの前世代的普及など、最新技術が含まれているのが特徴である。京都アニメーションのデジタルアニメとしては当時としては最高レベルだろう。
内容に関しては、SFの古典から引っ張り出してきた「マトリックス」的世界であり、フィリップKディック、カートボネガットなどの「夢」か「現」かが曖昧な設定であり、主人公の涼宮ハルヒによって世界は構成され、彼女がいなくなると世界は無くなる。という、「われ思う、故にわれあり」の最高上位である。このことに最初に触れたのは1984年の押井守の「ビューティフルドリーマー」であり、この映画で初めて「ラムがいるからこそ友引高校含む世界が構築される」といったセカイ=主人公構図が完成した。
当時としてはそういうアニメを知らない人にとっては新鮮に映ったであろう。
最後に第五次アニメブームの火付け役は「魔法少女まどかマギカ」である。
正直、「エヴァ」の「魔法少女」版なのだが、ここまで設定を突き詰めたアニメはその後2018年現在存在しない。