「ゲド戦記(アニメ映画)」

総合得点
58.8
感想・評価
516
棚に入れた
2614
ランキング
6494
★★★★☆ 3.2 (516)
物語
2.8
作画
3.6
声優
3.0
音楽
3.5
キャラ
3.0

U-NEXTとは?(31日間無料トライアル)

ネタバレ

Progress さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7
物語 : 3.5 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

わかりやすいがそこで止まるべきか?

千と千尋の神隠しでも白の本当の名前を読んで竜が人間になったけど、
真名って要素は何か繋がりがあるのかなあ?。

世界の均衡について、何度もゲドから発言があったけど、
ゲドのいう均衡ってなに?という部分は崩れた均衡のシーンで考えて見ると、
・農家が農地を捨てる等の継続的な営みの消失
・人身売買などのモラル崩壊
・薬物などの現実逃避
等等…、序盤で語られる人間世界の秩序がなくなってきているのが投影されて、
秩序の崩壊=均衡の崩壊なんだろう。
で、その秩序の崩壊がゲドが語る、人間の生への恐怖であるから、

世界の均衡の崩壊の理由は人間の恐怖が原因で、
なぜ恐怖が生まれたかというのは、
自然現象が説明できない科学が発展してない世界で、
太陽の光が弱くなる、疫病で人が多く死ぬ、
そこに理由や明確な説明をつけられない事により
人間は恐怖を覚え、現実逃避や逃げの行動、秩序の破壊の連鎖に繋がっていくという事なのかな。

魔法使いやまじないしが魔法だのを使えなくなっている理由が気になるけど、それは魔法が人と繋がっているから、
恐怖により繋がりが薄くなった世界で、魔法との繋がりも薄くなったって事だろうか。
恐怖により、人が人とつながる事を薄れるというのは、
アレンが死と向き合い、「他者と向き合う」ことを知ったことから考えるに、
他者からの干渉を恐れている、恐れるあまり人から遠ざかる、それが繋がりの喪失につながっている?

つまり繋がりというのはいつも見えない物で、不確かで曖昧な物だから、
街でゲドが出会った布を売るまじないしは形ある物に短絡的にすがる、
そこには恐怖があるからということではないかな。
薬物に手を染めて現実から目をそむけるのも、他者との繋がりから逃げてしまった人間の末路かね。
つまり、魔法が使えなくなったのは、魔法が曖昧なもので存在しない物だから、
信じる人がいなくなった、集団的な信仰心の消滅が原因かな?

または、生への恐怖、繋がりの曖昧さを信じれない人間達の集団的恐怖により、
物という存在するものをしんじ、曖昧なものとの繋がりが弱くなって、魔法が使えないということなのかね?

と、まあ疑問系の多い文章をかいたところで、
最終的にアレンや登場人物がその生への恐怖に立ち向かうというメッセージ性を、全て言葉で喋ってしまうのは、
なんともメッセージ性がわかりやすい、もしくはそこに終わるのか、というか…

これは生への恐怖に立ち向かう物語なんだ!という所に視聴者の多くを置いていってしまう、なんとも伝え方がどうよ?っておもってしまいますね。

個人の恐怖が集団的恐怖を生み出し、
世界の人間や自然との繋がりが薄くなっている、
だからアレンの恐怖は世界で起きていることそのもので、
アレンが恐怖に立ち向かう事で剣を抜けたのは、
生への恐怖に立ち向かうことは、
曖昧な他者との繋がりを信じる、
それによって魔法剣は抜けたということで、
全ての現象は繋がっているというような
大きな世界での個人の価値を肯定してるような話にも見えるのですが、
どうでしょうか?

キャッチコピーは「見えぬものこそ。」(糸井重里)

PS.
真名って言うのは確かに他者に操られてしまう恐れがあるからあまり明かさない、
つまり真名を明かした人には信頼できる繋がりがあると確信できるという、
面白い設定だと思います。
また、竜は自由を求め、人間は秩序?を求めたという前半の導入、
人身売買による自由の剥奪、ゲドにより枷は外れたのに逃げ出さない人達。
そういうシーンの中に自由の中を生きる勇気が描かれていると思います。
つまり生への恐怖に立ち向かう力が、ない人たち(アレン)や、
自由な空から人間の世界に入りこんでひまったテルーが特異点で、
人から見たら寂しそうに見えるが、何処かに繋がりを確信しているから旅をできるゲドなど、
考えると面白い要素はたくさんあるかも。
ゲドを自由に旅をする鷹に見たてて「寂しくて」と鷹を見た人は歌に乗せて言うのだけど、
それは一人が寂しいという鷹を見た人の感情を示していて、
寂しいという感情は、繋がりを求めるからこその感情であり、
歌い手(テルー)は寂しいと思っていた。つまり繋がりを求めていた。
歌を聞いて涙を流したアレンもまた、繋がりの曖昧さに恐怖しながらも、
本当は何処かに繋がりたかった、とも取れるかな。

これは作画の問題だとは思うのですが(笑)
前半のアレンの顔に影が少なかったのは、
影を置いてきたからでしょうか。
後半の朝焼けの時間の決戦時にアレンの影が強調されたから
余計にそんな感じに見えました。
いやこれは、作画の問題でしょうね(笑)意図してるとしたらすごいよ(笑)

投稿 : 2018/01/23
閲覧 : 353
サンキュー:

31

ゲド戦記のレビュー・感想/評価は、ユーザーの主観的なご意見・ご感想です。 あくまでも一つの参考としてご活用ください。 詳しくはこちら
ゲド戦記のレビュー・感想/評価に関する疑問点、ご質問などがございましたら こちらのフォーム よりお問い合わせください。

Progressが他の作品に書いているレビューも読んでみよう

ページの先頭へ