そら さんの感想・評価
4.9
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
思い出に残る名作(ラノベ自体は詳しくないけど)
何度も見返して、そのたびにジンときます。
設定等は調べたら出てきますので省きます。端的に言うと{netabare}、いもうと桐乃の「大好きなお兄ちゃんと結婚する」という夢を精一杯の形で叶えたお話。{/netabare}
{netabare}お兄ちゃん好きをこじらせて才色兼備かつ誰からも頼られるような完璧な女の子になるとともに、オタクという世界の中でも特に軽蔑されてしまうジャンル「妹モノのエロゲー」と「魔法少女アニメ」を心の底から愛してしまった桐乃。しかし理想として追いかけた兄の京介は中学生のとき「普通が一番」と平凡でつまらない人間になってしまった。
そうなってしまった原因は小説版で書かれているらしいが(ネット情報)、京介の頑張りで登校拒否の同級生の女の子を登校させて林間学校にも参加させた時に起きた事件が発端らしい。その子が大怪我をしてしまい林間学校は中断。両親が激怒してその子を転校させてしまう。京介一人を悪者にして責めたてるクラスメイト。愛する祖母も亡くし、心が折れる寸前の京介。そのとき幼馴染の麻奈美がクラスメイトたちを正論で黙らせて、また京介には「頑張らなくていい」「平凡でいい」と心を救うとともにスポイルしてしまう。
完璧だった兄(の思い出)を追いかけるという幼き日の誓いを徹底的に実践し続けて、お嫁さんになる方法を人知れず求め続けてきた桐乃も極めてグレイト。京介を深くて強力な愛情で人格ごと飲み込んでしまう麻奈美もまた極めてグレイト。それぞれ妹・幼馴染のある種究極のカタチなんじゃないかなと思います。そして京介を平凡な人間に変えた事を見破り「兄貴を返せ!」と怒鳴り込んだ桐乃に対して麻奈美が笑顔で「だーめ」というシーンは、諸事情を理解したうえで観ると到底ライトなノベルとは思えない純文学的な緊張感すら感じます。{/netabare}
登場キャラ皆が真剣に一生懸命プライドを持って生きていて、人を大事にしているだけで充分いい作品です。その上で黒猫(大好きです)のような魅力的な脇役も彩りを添え、{netabare}桐乃と麻奈美という頭一つ抜けたヒロインが終盤宿命の対決をするのですから本当に面白かった。
最後に作品内での「キス」について。京介がしたホッペにキスの意味は、指輪を返された時に一瞬スッキリとしない表情を浮かべたことからもまだ終わりにしたくないという意思の表れと感じます。実際期限終了後に行ったのだから、彼個人の思いを(京介のホッペにキスをした子たち同様に)感じますよね。{/netabare}
原作者、小説とアニメ化に携わった方に心から感謝。{netabare}物語の評価は4.5ですが、小説の情報(京介挫折のくだり)を含めれば5です。因みに小説は万が一幻滅したら嫌なので今は読めないw{/netabare}