STONE さんの感想・評価
3.2
物語 : 3.5
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.0
状態:観終わった
高校生活のやり残し
3年生の三学期という学校でやることは無くなってしまったが、まだ終わっていないという微妙な
時期を描いた点がまず興味深い。
この時期特有の空気感がキャラ達の恋愛感情や人間関係とシンクロしているようで、独特な
雰囲気を持つ恋愛ものに仕上がっている感があった。
各キャラの恋愛における行動も高校生活のやり残したことを終わらせておくといった感じが強い。
中心となるキャラの半数以上がどちらかと言うと受動的なキャラであるため、ストーリー展開も
静的な感じで、ストーリー・キャラのいずれも地味と言えば地味な感じ。
こういった静的展開のため、恋愛関係は多少複雑化するもののそれほどドロドロとはせず。
この辺のほどほどの展開がこの作品の雰囲気には合っていたような気がするが、こういう淡々と
した暗めの恋愛ものって、個人的には一昔によくあったようなイメージ。
そんな中で相馬 陽斗と小宮 恵那はアクティヴな感があったが、相馬はともかく小宮の方は
1年下ということもあって、泉 瑛太、夏目 美緒、相馬、森川 葉月の4人グループからはちょっと
外れた位置にあり、ストーリー全体を動的なものにするには至らなかった感じ。
同じ恋愛もので本作より少し前に放映された「月がきれい」でもそうだったが、本作でも
LINEが効果的に使用されていたのが印象的。今の若い子の必須アイテムなんだろうなあと改めて
感じたり。
終盤において泉 瑛太と夏目 美緒が互いに相手の受験校に合わせることによって、逆に行き違いに
なるというオー・ヘンリーの「賢者の贈り物」を思わせるような展開になり、
「どうなることか?」と思っていたら、泉君が受験に失敗して、逆に一緒になりましたと。
と言うわけで最終的な組み合わせは泉と夏目、相馬と森川となるようになった感が強く、安定した
着地という感じ。
脚本・シリーズ構成の鴨志田 一氏が書いた「さくら荘のペットな彼女」も当初のそれっぽい
組み合わせの男女がそのままくっつく展開になり、まあそういう展開が好きな人なのだろう。
この辺に不満はないが、個人的には当初の予想とは異なる組み合わせで終わる作品の方が好み
だったりはする。
2020/04/10